始まったばかりなのに…。新型コロナウイルスの感染拡大で、東京都と沖縄県に出されている緊急事態宣言が8月31日まで延長すると同時に2日から千葉、埼玉、神奈川、大阪の4府県も追加された。これに泡を食っているのは海水浴場だ。コロナ禍で神奈川県の海水浴場の判断は分かれた。腰越、由比ガ浜など人気海水浴場を抱える鎌倉市は昨年に引き続き開設を中止。一方、隣の逗子市や藤沢市は2年ぶりに海水浴場を開設し、海の家が立ち並ぶ“いつもの夏”を取り戻したかに見えた。

 ところが、感染拡大は神奈川にも押し寄せ、7月28日から5日連続で1000人を超えた。緊急事態宣言に引き上げられたことで、逗子市は2日からの海水浴場の休場を決定し、海の家には休業を要請した。海水浴場の開設期間は9月5日までだが、8月31日まで休場となれば、事実上、今シーズンは終了したともいえる。

 市は海水浴場の開設にあたって、コロナ禍の感染状況次第では海開きの延期や期間短縮、施設の一時休業を行うと通告していたとはいえ、シーズン真っただ中での決定だ。しかも酒類の提供が禁止され、売り上げ半減を覚悟の上で、海の家をオープンしていただけに「急に閉めろなんて、どうしてくれるのか! 在庫はどうすればいいんだ」と海の家関係者の怒りは収まらない。

 海の家は建築するだけでも費用がかかり、シーズンを見越しての食材や飲料、物品などを仕入れていたが、すべてパーというワケだ。アルバイトも事実上、クビで道連れ。休業補償に関してもまだ不透明だという。

 8月最初で最後の営業日となった1日、逗子の浜には、海水浴や日焼けを楽しむ若者や外国人ら多くの客で埋め尽くされた。2日からの休場を知らない人が多く、「来週も来ようと思っていたけど」「立ち入り禁止になるワケではないですよね?」と引き続き、人は訪れそうだが、海の家は休業。関係者の怒りはどこへ向ければいいのか――。