謎ワードに困惑が広がっている。出版社の「ホビージャパン」は26日、転売を推奨するかのような書き込みをSNSでした社員への処分を公式サイトで発表。“転売ヤー”(転売とバイヤーを組み合わせた造語)に頭を悩ませているホビー業界だけにスピード対応となった。もっとも、当該社員は「退職処分」というのだが…。

 同社が出版する「月刊ホビージャパン」の編集者だった社員はSNSで「転売を憎んでいる人たちは、買えなかった欲しいキットが高く売られているのが面白くないだけ」「頑張って買ったひとからマージン払って買うのって、普通なのでは」などと転売ヤーの存在を肯定的に書き込んでいたという。

 同誌はプラモデルやフィギュアを扱う雑誌。常日頃から転売ヤーには頭を悩まされていた業界だ。それだけに読者を中心に編集者の書き込みに批判が殺到したのは当然だった。

 同社は24日にツイッターで声明を発表し、「皆様のホビーに対する想いや、当社に対する信頼を裏切る事態になってしまっておりますこと、お詫び申し上げます」「当社はホビーに携わるものとして、ホビー商品のいかなる転売行為や買い占め行為も容認しておりません」と火消しに努めていた。

 そして26日に処分発表。当該社員の退職処分のほかに、常務取締役編集制作局長が取締役に降格、同誌編集長が副編集長に降格、同誌副編集長がデスクに降格と幹部らの処分も行われた。東京五輪が盛り上がる中でも「退職処分」がツイッターのトレンドワード上位となるほど話題を呼んだ。

 ツイッターでは「誠意のある対応と思います」「常識ある企業で安心しました」などとスピード処分に好意的な意見もあるが、一方で「依願退職と懲戒解雇、どっちだったのか」「厳に対応したことを示すならせめて処分の内容まで詳(つまび)らかにすべきでは」などと、「退職処分」が何を意味するのか分かりづらく困惑も広がっている。

 社労士資格を持つ労働問題に詳しい関係者は「『退職処分』という言葉はあまり聞きませんね。もしこれが懲戒解雇を意味するのなら、さすがにやりすぎで、解雇をめぐって争いになることも考えられます」と首をかしげる。

 ほかに「諭旨解雇」や自分から退職していったことも考えられるが、「要は、そこら辺をボカしたかったのでしょう。実際にやった内容を考えると、処分として妥当なのは停職か降格でしょうか」(前出の関係者)

 どういった処分にしろSNSの書き込みでいきなり仕事を辞めることになったのは事実。SNSをやっている人は気を付けた方がいい。