東京地裁は18日、一昨年の参院広島選挙区をめぐる大規模買収事件で、公職選挙法違反に問われた元自民党衆院議員の河井克行被告(58)に対し、懲役3年(求刑懲役4年)の実刑判決を言い渡した。

 起訴状によると、克行被告は2019年3~8月に妻で元自民党議員の河井案里氏(47=有罪判決)を当選させる目的で、広島県の地方議員や後援会関係者ら100人に総額約2900万円を配ったという。

 克行被告は昨年8月の初公判で「選挙運動を依頼する趣旨はなかった」と無罪を主張したが、今年3月の被告人質問でこれを撤回し、起訴内容を大筋で認めていた。

 一方、検察側は「前代未聞の突出して悪質な選挙違反」として実刑が相当と主張した。克行被告は政治家を辞めたことや逮捕後に支払われた歳費の一部700万円を児童福祉関連の財団法人に寄付したことを挙げて、執行猶予付きの判決を求めていた。

 この日、自民党の二階俊博幹事長(82)は克行被告の実刑判決を受けて「本日、東京地方裁判所において、河井克行前衆院議員に対し有罪の判決がくだされた。自民党としては、政治の信頼を揺るがせるような事態を深刻に受け止めるとともに、引き続き党全体の規律と信頼回復に努めていく」とのコメントを発表した。

 菅義偉首相(72)は、今回の買収事件で自民党から案里氏陣営に振り込まれた1億5000万円問題について「当時の(自民党)総裁と幹事長で行われていることは事実ではないか」と話し、安倍晋三前首相(66)と二階氏を名指しにして党内が騒然となった。

 自民党関係者は「二階氏のコメントに国民は、わが党が河井夫婦の〝政治とカネ〟問題に対し、猛省していると受け止めきれていませんよ。しっかりと説明責任を果たさないといけません」と肩を落としている。