中国・雲南省を北進するアジアゾウ15頭の群れは、本来の生息地から500キロも離れたが、いまだ北進をやめる気配はない。今月2日に省都・昆明市に侵入。人家や畑を荒らす被害が出ている。

 4日以降はエサで誘導されて西側へ逸れて難を逃れたが、雲南省南部の自然保護区では別のアジアゾウ17頭の群れが移動を開始。予断を許さない状況になっている。

 今回の件をめぐっては、酒を飲んで酔っ払った2頭が群れから脱落したり、酒かすを食べて酔っ払った1頭が群れから脱落しかけるなど、ほのぼのした話題も多いが、アジアゾウは東南アジアで毎年死者を出すほどの危険生物だ。それが群れで人の生活エリアに出没するのは異常事態と言わざるを得ないが、過去にはロシアでも超ド級の危険生物が集団で人を襲撃する事件が起こっている。

 時は2008年7月、ロシア東部にあるプラチナ鉱山には約400人の労働者が寝食をともにしながら働いていたが、ここを大型ヒグマ約30頭の群れが襲撃。2人の警備員を殺して食べる凄惨な事故が発生した。当然ながら一度人を襲ったヒグマは再び人を襲う可能性が高いだけに、労働者たちは現場に戻ることを拒否したという。

 まるでマタギ犬が活躍するマンガ「銀牙―流れ星 銀―」に登場する最恐クマ集団「赤カブト軍団」のような話だが、当時、専門家らは「ヒグマが集団で人を襲うのは異例中の異例だ」と見解を示していた。

 今回のアジアゾウも生息域の北限を超えるような常識外れの行動を見せている。専門家は「オスの若いリーダーが道に迷ったのでは?」という見解を示しているが、新たに移動を開始した17頭の群れも含めて、まだまだ目が離せない状況が続きそうだ。