ホスト国の声を無視し、東京五輪の強行開催の姿勢を貫く国際オリンピック委員会(IOC)に海外メディアも違和感を感じている。

 新型コロナウイルス禍の深刻化により日本国内では東京五輪の中止を求める声が多数派を占めている。しかし、12日にはIOCのマーク・アダムス広報部長が「耳を傾けるが、世論に左右されることはない」と断固開催を宣言した。

 こうしたIOCの姿勢に台湾メディア「ザ・ニュース・レンズ」は「この発言は皮肉なものだ」と指摘。同メディアは「IOCは開催地を決める際は世論を重視する。例えば2026年の冬季五輪の開催地に、スウェーデンのストックホルムとオーレ(共同開催)を断念し、イタリアのミラノ、コルティナダンペッツォ(共同開催)を選んだのは、イタリア国民の支持が強かったからだ」と世論が決め手の一因になったことを伝えている。

「五輪の夢を実現するために、誰もが犠牲を払わなければ」と発言し、日本国民を大激怒させたトーマス・バッハ会長も、当時は「イタリアの五輪ファンの情熱と理解に、運営者の豊富な経験が合わさり完璧な環境がつくられるだろう」と開催国の国民に敬意を表するコメントを残している。

 開催を求める〝イエス〟には反応し、中止を求める〝ノー〟には一転して耳をふさぐ。そんなIOCのご都合主義に、同メディアは違和感を感じているようだ。