カジノを含む統合型リゾート(IR)を巡り、中国企業から賄賂を受け取ったとされる衆院議員の秋元司被告(49)が29日、東京地裁での初公判で「すべての事件は無罪だ」と身の潔白を主張した。永田町で注目されているのは、秋元氏がどうケジメをつけるかだ。

 秋元被告は中国企業「500ドットコム」から中国や北海道への旅行費や衆院選の陣中見舞いなど計約760万円を受け取った疑いで、2019年に収賄容疑で逮捕された。昨年2月に保釈されたが、中国企業の元顧問2人に裁判での偽証を依頼していたことを暴露され、証人等買収の疑いで同年8月に再逮捕されていた。

 初公判で秋元被告は、白髪頭で「職責を果たせないでいることは大変申し訳ない」と謝罪したうえで、起訴内容は全面否認した。秋元被告が「職責」と言葉にしたのは、逮捕された後も議員バッジをつけたままで、辞職していないからだ。

 自民党関係者は「最初の逮捕時に離党こそしましたが、いまも二階派の特別会員で籍を置いている。最高裁までもつれることが必至の裁判は長期化が予想され、10月までに衆院選が行われる。秋元氏がどうするかで、野党も含めて対応を見守っている状況です」と指摘する。

 秋元氏の地盤は東京15区(江東区)で、自民党は後継候補をまだ擁立していない。「区議の山崎一輝氏を擁立する動きがあったが、都議会幹事長の要職に就き、7月に都議選が控える。元みんなや希望で、無所属の柿沢未途衆院議員をスカウトの声もあったが、止まったまま。秋元氏が無所属で出馬する公算が高いが、地元は再逮捕された一件があるのでドン引きしています」(前出の関係者)

 一方で、衆院議員の河井克行被告(58)が無罪主張から一転、選挙買収を認め、議員辞職届を出したケースもある。

 直前で反省の態度を示すことで、執行猶予付きの判決を狙った説や選挙への影響を考慮し、自民党幹部から説得されたのではないかとの声も飛び交っているが、河井氏も元二階派だった。果たして秋元被告は徹底抗戦を貫き通すのか、それともどこかの場面で白旗を上げる時が来るのか――。