新型コロナによる緊急事態宣言が解除され、人混みでにぎわっていた今月初旬の週末の新宿・歌舞伎町で、異様な光景が見られた。路上が暴力団風の男たちであふれ返り、“スカウト狩り”を行っていたのだ。その一部の模様は撮影され、SNSで拡散された。裏社会のトラブルとみられるが、なんとこれに今をときめく超人気女性アイドルグループのメンバーたちが巻き込まれていたことが、本紙の調べで判明した。いったいなぜアイドルが暴力団に襲われたのか――。

 過去の危険なイメージは今や昔の話。かなり安全になった歌舞伎町だが、今月6日夜ごろからその様子は一変した。

「何十人、何百人単位のヤクザが街に出てきて、血まなこになって人を捜していた。歌舞伎町だけではなく、新宿駅付近でもヤクザの姿は見られた」と裏社会の事情通。

 ヤクザの標的になったのは新宿を地盤にする、主にキャバクラや風俗に若い女性を勧誘するスカウトたちだ。

「もともとそのヤクザはスカウト軍団のケツモチだったとか。それが仲間割れのような形になり、もめたために、ヤクザ組織がスカウト軍団を一気に潰しにかかったようだ」(前出の事情通)

 歌舞伎町に集結した暴力団は、有数の武闘派組織として知られている。服装などがスカウトらしき男たちを見つけると、取り囲んで罵声を浴びせて脅していたという。スカウトとはまったく関係がないホストが巻き添えで暴力を振るわれたという情報もある。

 暴力団の男たちが詰め寄る恐怖の様子は、目撃者に撮影され、SNSで一気に拡散。裏社会とは接点がまったくない一般人に「歌舞伎町は危険だ!」と知れ渡り、翌日から人出は大幅に減ったほどだ。

 暴力団組織はスカウト軍団の幹部を必死に捜していたのだが、それに超人気アイドルたちが巻き込まれたというのだから、シャレにならない。なぜ歌舞伎町とは縁遠いアイドルたちが関係してくるのか?

「スカウトたちを一網打尽にすべく、ヤクザたちは新宿の路上だけではなく、歌舞伎町近辺で“検問”まで行っていた。それらしき車を見つけると、停止させて中を確認していた。そこに偶然、アイドルたちが乗った車が通りかかり、スカウトの車と間違えられ、無理やり止めさせられた」と歌舞伎町関係者。

 暴力団や裏社会の人間が乗る車といえば、黒いセダンの高級車というイメージがあるが、今どきの主流は黒の高級ミニバン。くしくも芸能事務所の社有車も同タイプのケースが多い。しかも車内が見えないように窓にスモークを貼っているのがほとんどで、それも暴力団が好む車と共通する。

「“検問”していたヤクザたちは、アイドルたちを乗せていた車を裏の人間の車と勘違いした。止めるにあたってコワモテの男たちからは『コラァッ!!』『出ろや!!』などといった罵声が飛び、車をバンバン叩くようなことまであったらしい。突然のことで何が何だかわからなかった女の子たちは、言葉も出ないほどの恐怖におののいたそうです。明らかな人違いということですぐに“解放”されたようだが、このショックは大きい」(前同)

 人生の中で会ったこともないほど怖そうな男たちに囲まれて、あわや“襲撃”されそうになり、アイドルたちが震え上がったことは言うまでもない。

「あれから2週間ほどたつが、今でもトラウマになっているとか。歌舞伎町近辺に行くだけであの日の恐怖がフラッシュバックするようで、車を止められた道路は通れなくなったみたい」とテレビ局関係者。

 事態を重く見た警察が歌舞伎町で警戒を強めたため、今はすっかり“平穏な日常”を取り戻している。しかし、襲撃された国民的アイドルたちの心が癒えるまでは、まだ時間がかかりそうだ。

【危険な目に遭ったアイドルたち】これまで数多くのアイドルが危ない目に遭ってきた。記憶に新しいところでは、元NGT48の山口真帆の件が思い起こされるだろう。グループに在籍していた2018年12月、自宅で暴行被害に遭った。翌19年1月にSNSで告発し、グループを揺るがす大騒動に発展した。

 まさにアイドルは危険と隣り合わせ。18日にも脅迫事件が明らかになった。アイドルグループ「虹のコンキスタドール」の中村朱里(22)をツイッター上で脅迫し所属事務所の業務を妨害したとして、警視庁新宿署は18日、脅迫と威力業務妨害の疑いで、職業不詳横山智史容疑者を逮捕した。逮捕容疑は4月29日、中村のツイートに対し「辞めてくれないと家族やメンバーを道連れしますよ」「理解できないなら殺しますよ」などと投稿して脅迫し、事務所に警備を強化させるなどして業務を妨害した疑い。投稿を見た人が110番し、同署が捜査していた。

 事件化されなくてもこのような脅迫被害は頻繁に起きているのが現状だ。しかしながら、暴力団に“襲撃”されたなどという事態は前代未聞。それだけに今回、国民的アイドルグループのメンバーたちが感じた恐怖は計り知れない。