【東スポ創刊60周年】プチ鹿島 こんな時代だからこそ“ファンタジックな未知”をもっと読みたい

2020年04月01日 16時27分

代表的な紙面

【東スポ創刊60周年!各界から祝福メッセージ】東スポ60年の歴史のうち、特に後半、平成になるころからは“エンタメ色”の濃い1面を皆さんにお届けしてきた。アニバーサリーを記念して、多くの方々に愛のあるツッコミをいただいた代表的な紙面をここに復刻。懐かしんでいただきつつ、これからの1面もどうぞお楽しみに! なお、せっかくなので“日本一の新聞読み”にして人気時事芸人のプチ鹿島に弊紙を分析してもらったぞ。

 東スポがやってきたのは「一人SNS」だったんだと、最近気づきました。誰もが発信して誰もが突っ込める時代になって、世の中に対して面白ツイートをする人がたくさんいますけど、東スポは平成以降、それを30年以上やってきたんですよね。

 ただ、ツイートでもそうですが、単なる悪ふざけだと批判されるじゃないですか。その点、東スポは演芸偏差値が高いから許されるし、愛される。例えば、高田文夫先生は「フセインインキン大作戦」という見出しに関して「韻を踏んでいる」とおっしゃった。演芸の素地がある、笑いを分かってる、と。
 あと、「マドンナ痔だった?」「プレスリー生きていた」とか、平成初期の1面って海外の香りがありましたよね。今みたいにネットがない時代、ネッシーや宇宙人、雪男もそうで、“外国のまだ見ぬもの”が読者の心をつかんだんだと思います。未知なる外国人レスラーと似ていますよね。

 そんな「ファンタジックな未知」から「ガチでシリアスな未知」にファイティングスタイルを変えつつあるのが最近の東スポ。僕は「影絵シリーズ」と呼んでいるんですが(笑い)、ASKAさん逮捕をはじめとした芸能人の疑惑をイニシャルと影絵で報じるパターンは、ファンタジーではなくリアルなニュースを予言している。今で言う“ニオわせ”でもあるんですけど、後からクイズの答えが分かるわけです。

 ファンとしてはファンタジックな未知をもっと読みたいんですが、世の中が変わってきたので仕方ないですよね。今はシャレが利かない、半信半疑やドロー決着が許されない時代ですから。そういう状況で東スポは上手にシフトしましたし、その中で報じるゴシップというのには僕は価値があると思うんです。今はネット上にフェイクニュースやデマがたくさん転がっている。そういうものと、東スポというフィルターをくぐったゴシップは別なんですよ。業界のことを知り尽くしたゴシップのプロが通したんですから、安心して楽しめるんです。

 そんな味わい方を「無駄だ」という、必要なものしか欲しがらない世の中って、本当につまらなくなってる、大事なものを見失ってる可能性がありませんか? そういう中で、暗いニュースが多い今の時代こそ、ちょっとホッとさせてくれる東スポの成分がもっともっと必要だと思います。(次回はさらに詳しく。最近の1面もチョイス!)

☆ぷち・かしま=1970年生まれ。時事ネタと見立てを得意とする人気芸人。新聞13紙を読み比べ、新聞、雑誌などでコラム多数。「サンデーステーション」「東京ポッド許可局」に出演中。著書に「教養としてのプロレス」「芸人式 新聞の読み方」など。