元秘書に対する「このハゲーーーッ!」の暴言で知られる元衆院議員、豊田真由子氏(45)が、コロナ禍の真っ最中に意外な形で、お茶の間に帰ってきた。9日にゲスト出演したトークバラエティー番組で“専門家”として新型コロナウイルス対策について語った。暴言騒動からやがて3年。表舞台から消えていた豊田氏のサプライズ登場は復活へののろしなのか――。

 豊田氏がその姿を見せたのは9日の「バイキング」(フジテレビ系)だった。新型コロナウイルスによる肺炎の感染拡大などについて取りあげたコーナーに、公衆衛生の仕事に関わった経歴のあるコメンテーターとして堂々と登場した。

 議員時代に印象的だったつり上がった眉毛は消え、この日はピンク色の服で、髪を伸ばし前髪を作り、かつてのキツい印象を払拭。2017年6月以降の暴言騒動時とは似ても似つかないイメチェンした姿に、永田町やネットは騒然となった。

 番組冒頭、柔和な表情の豊田氏は「その節は皆さん、申し訳ありませんでした」とあいさつ。東大法学部卒、ハーバード大学大学院修了で、厚生労働省の官僚時代は09年の新型インフルエンザ発生時に世界保健機関(WHO)とのやりとりを担当した経歴がある。番組内では上品な口調で、検査数が少ないと国が批判されているPCR検査などについて解説してみせた。

 豊田氏は1997年に厚労省入省後、ハーバード大に留学。「T.H.チャン スクール」の名で知られる公衆衛生大学院を02年に修了した。本紙は2月26日発行紙面で、米国の疫学専門家が米メディアの取材に「世界の人口の4~7割が新型コロナウイルスに感染するだろう」と答えたことを取り上げたが、その専門家が在籍するのが同大学院。14年には同院のウェブサイトで豊田氏が「公衆衛生の政治家」と紹介された。議員時代には厚労委員会で新型インフル関連の質問に立ったことも。

 12年に政界入りを果たすも、元秘書への暴言などの騒ぎにより17年に自民党を離党。同年の衆院選で無所属での出馬も無残に散った豊田氏は、公の場から完全に姿を消していた。今回、かつての経歴が注目される形となり、ネット上では「しっかりした発言」などと評価する反応も一部でみられる。

 ただ、昨年の参院選埼玉補選ではNHKから国民を守る党からのオファーを「家庭の事情」を理由に断っていた。今回の表舞台への“復帰”は、どういう風の吹き回しなのか? 

 自民党関係者は「最近、ワイドショーやバラエティーに引っ張りだこになっている元衆院議員の金子恵美氏に触発されたのでは? 2人は自民党の当選同期ですが、キャリアとしては豊田氏が断然上。金子氏が活躍できるなら自分でもできる!と火がついたのかも」と指摘する。

「このハゲーーーッ!」騒動ではワイドショーで連日、豊田氏の映像が流れていただけに「バイキング」は“復帰初戦”としては格好の場だったのか。東国原英夫氏とブラックマヨネーズの小杉竜一との絡みもあり、「ハゲネタ」にも動じた様子はなく、NGではなかった。

 ただ、表舞台で本格活動する場合は心配もなくはない。豊田氏の支援者は「(豊田氏が手伝っていた事業の)福祉の現場でキレてしまったことがある。いつものキレ癖がテレビで出なければいいのですが…」。活動再開はうまくいくのか!?