北朝鮮の切手というのは一般にあまりなじみがないと思いますが、実はオリンピック切手を数多く発行していて、今回はその中の一枚。1988年のカルガリー冬季オリンピック記念切手で、絵柄は本日の切手美人、東ドイツのフィギュアスケート選手、カタリナ・ビットです。

 彼女の美貌と美しい演技を覚えている読者も多いでしょう。84年のサラエボ冬季オリンピックで金メダルを取り、カルガリー大会では2度目の金メダルを狙っていました。当時の彼女の強さはまさに猛烈で、欧州選手権では6回連続金メダル、世界選手権で4度金メダルを取っています。

 この時のライバルはアフリカ系アメリカ人のデビ・トーマス。スタンフォード大学の学生で医師を目指していたインテリです。フリー演技の曲に両者とも偶然、ビゼーの「カルメン」を選び、「カルメン対決」などと言われましたが、結果はビットの圧勝。デビは極度の緊張でジャンプに失敗し、3位に沈んでいます。東ドイツの秘密警察に私生活をすべてつかまれながら、懸命に競技をしてきたビットの根性勝ちというところでしょうか。もっともデビもアフリカ系選手として初のメダル受賞で、いまだ2人目は現れていません。

 ビットは今もドイツ芸能界で活躍中。公式インスタでは笑顔の写真をアップし、コロナ禍でも希望を失わないで、と訴えています。