米人気ロックシンガーのジョン・メレンキャンプがトランプ大統領の「アメリカ湾」構想を痛烈に批判した。これを受けたホワイトハウスも反撃に出た。米紙ニューヨーク・ポストが28日、報じた。

 メレンキャンプは、25日にニュージャージー州ホルムデルで行われたコンサートを中断し、トランプ政権が「メキシコ湾」を「アメリカ湾」に改名するよう命じた大統領令を痛烈に批判した。

 これを受けて27日にホワイトハウス報道官のデイビス・イングル氏は、フォックスニュース・デジタルに声明を発表した。「正気な人間なら、世間知らずで意識高い系のハリウッドセレブの言うことなど気にしない」とイングル氏は述べた。

 メレンキャンプは「ダンシング・ワーズ」ツアーの一環として、1983年のヒット曲「ピンク・ハウス」(全米8位)の冒頭数節を歌った後、観客に直接語りかけた。

「人がいて/また人がいて/彼らは何を知っているんだろう?/高層ビルで働いて/メキシコ湾で休暇を過ごすんだ」とロック界のアイコンはこう歌った後に「ちょっと待って」とパフォーマンスを中断。バンドが演奏を続ける中、メレンキャンプは皮肉っぽくこう語った。

「メキシコ湾? そうなのか? アメリカ湾じゃないのか? なんてバカげた考えだ」

 メレンキャンプはすぐに演奏を再開し、「ピンク・ハウス」を最後まで歌い終えた。

 多くのリスナーは当初、同曲を「愛国歌」として受け入れたが、メレンキャンプ自身はこの曲が実際にはアメリカンドリームに対する鋭い批評であり、階級、不平等、理想と現実のギャップといったテーマを探求したものだと説明している。つまり〝ザ・ボス〟ことブルース・スプリングスティーンの名曲「ボーン・イン・ザ・USA」と同様の「誤解」を招いていたわけだ。

 同曲は、メレンキャンプがインディアナ州の高速道路沿いにある小さなピンク色の家の外に座っている男性を見かけたことがきっかけで生まれたもので、労働者階級向けの住宅を「ショットガン・ハウス」と歌い「これこそがアメリカだ」という象徴的なコーラスを生み出した。

 メレンキャンプはブルースの盟友であり、2022年の自身のアルバム「スティックリー・ワン・アイド・ジャック」では「ウエステッド・デイズ」「ディド・ユー・セイ・サッチ・ア・シング」の2曲、23年の「オルフェウス・ディフェンディング」でも「パーフェクト・ワールド」で共演を果たしている。トランプ政権がどう反撃に出ようが、メレンキャンプのメッセージはブルースの歌同様、米国民に確実に届いたに違いない。