「ザ・ガードマン」や山口百恵さん(55)との共演ドラマ“赤いシリーズ”、「渡る世間は鬼ばかり」(いずれもTBS系)などで人気を博した俳優・宇津井健さんが14日午後6時5分、慢性呼吸不全で死去した。82歳だった。若くしてスターとなり、晩年まで第一線で活躍し続けた宇津井さん。温厚な性格、そして徹底したプロ意識の持ち主で、百恵さん、水谷豊(61)ら多くの俳優・女優からも慕われた。

 肺気腫を患い、入退院を繰り返していた宇津井さんだったが、ついに力尽きた。

 古株の芸能プロマネジャーが「現場で会えば、『よっ!』というような感じでいつも声を掛けてくれる優しい人でした」と語るように、温厚な性格で知られた。

「宇津井さんは若い頃から太りやすい体質だったそうで、自宅だけではなく、楽屋にもダンベルを持ち込み、空いている時間に筋トレしていましたよ」と芸能プロ幹部。

 肉体管理にこだわるあまり“お米断ちダイエット”をしていたこともあるという。

「確か『さすらい刑事――』の時ですかね。どこかで『米を食べると太る』と聞いたらしく、まったく米を食べない時期がありました。演技でどうしても食べなきゃいけない時も、大根をすって米に似せた物を食べていたのです」と前出の幹部。

 こんな愛すべき存在の宇津井さんを慕っている役者は多かった。まずは何といっても百恵さんだろう。

「百恵は宇津井さんをドラマ同様に実のお父さんのように慕っていました。2人で買い物に出かけることもあり、その姿はまるで本当の仲の良い親子のようでしたよ」と前出マネジャー。1980年11月、百恵さんと俳優・三浦友和(62)との結婚式では仲人を務め、“娘”の幸せを祝福した。

 百恵さんが“父親”なら、“兄貴”と慕っていたのが水谷だ。

 2010年に公開された映画「相棒―劇場版II― 警視庁占拠!特命係の一番長い夜」で2人は共演。宇津井さんは映画版だけのスペシャルゲストだった。

 この時は数年ぶりの共演となったが、水谷の方から「宇津井さんと共演したい」とラブコールを送ったのだという。実は「水谷さんは宇津井さんの映画人としての姿勢やそのジェントルマンぶりを尊敬していたし、ずいぶん昔から宇津井さんにかわいがってもらったようです。相棒の杉下右京もジェントルマンですが、映画を離れたところでは宇津井さんのそれを見習っていた」(ある映画関係者)

 オファーを受けた宇津井さんも「水谷君とならぜひ」と二つ返事でOKした。「久しぶりの共演だったのですが、水谷さんは『宇津井さんとなら問題ない』と何も心配していない様子だった。昔から演技論を語り合っていたそうで、全てを分かり合っていた。実際、現場でもすぐに呼応したそうで、まるで宇津井さんが演じた役が、昔からの登場人物だったように感じられたそうです」(前出関係者)

 カメラが回っていないところでは、スタッフへの気配りを忘れずに大物ぶらない姿勢がみんなに愛されたという。まさに昭和の大スターだった。

 なお故人の遺志により、通夜・告別式は密葬で執り行い、後日「お別れの会」を開く。

☆うつい・けん=1931年10月24日生まれ。東京都出身。早稲田大学第一文学部4年に在学中の52年、俳優座養成所に入所。53年に俳優座・新東宝提 携の映画「思春の泉」の主役に抜てきされてデビュー。54年に新東宝に入社して二枚目新進スターとして数々の映画で活躍。近年では父、祖父役が多かった。