俳優・演出家の吉田鋼太郎(67)が「令和8年度 春の褒章」で、「長年にわたり、俳優・演出家としてシェイクスピア劇を中心に卓越した表現力を発揮し、舞台と映像の両面で日本の演劇界をけん引し続け、この世界の発展・振興に多大な貢献をした」とされ、「紫綬褒章」を受章。このほど取材に応じ、心境を語った。

 受章を聞いて耳を疑うほど驚いたという。過去の受章者には「雲の上の方々の名前が羅列してあり、えらいことになった」という中、2001年に同章を受章した演出家の故・蜷川幸雄さんにも言及。自らを「蜷川幸雄の弟子」という吉田は「蜷川さんが生きていたら『お前が勲章か』みたいなことをおっしゃると思います」と目を細めた。

 吉田にとって、シェイクスピアの魅力は「感情の振幅がとてつもなく大きい。やっている最中は、苦痛と苦労しかない修行僧のよう」としつつも「50年間(芝居から)逃げ出さなかったということは、それが好きなんでしょうね」。

 今後の目標について「シェイクスピアの四大悲劇で、高齢の人間がやれる芝居は『リア王』しかない」といい「『リア王』を80代でやる。やれるもんなら90代、100歳でもやりたい」と目を輝かせていた。

 改めて受賞は「光栄なことであるけれども、ますます責任が重くなるという感想を抱いた」という。「今の若い方はとっても芝居がうまい。非常にそつがない」という一方、「蜷川さんがおっしゃっていたんですけれど『それじゃつまんねぇぞ。俳優はノイズが欲しい』って」。

 吉田も「ザワついた、どこか飲み込むのに時間がかかる、そういう俳優さんが育ってくれればいいなと思います」と思いを寄せた。