イラン戦争の停戦期限が米東部時間21日(日本時間22日)に迫る中、さらなる泥沼化が指摘されている。イラン内部で対米穏健派が排除され、イランの強硬派組織であるイスラム革命防衛隊(IRGC)が実権を握った兆候があるという。協議の行方は不透明だ。

 米国とイランは21日に仲介国であるパキスタンの首都イスラマバードで、戦争終結への再協議に臨む可能性がある。米国側は、バンス副大統領をはじめとする交渉担当者らがパキスタンを訪問する予定。しかし、イラン外務省のイスマイル・バガイ報道官は20日「現時点では米国との第2回交渉を行う計画は存在しない」と述べた。

 イランが強硬姿勢となった背景に、停戦の間にIRGCが実権を握ったことがあるとみられている。

 前回の協議は、イラン側はIRGC出身で保守強硬派のガリバフ国会議長が実質的な窓口となり、対米穏健派のアラグチ外相は外交の中核として国際社会への発信を行ってきた。もちろん、最終決定者は最高指導者モジタバ師だが、ケガで表には出てこられなかったとみられている。

 中東の衛星テレビ局アルジャジーラは20日、「ホルムズ海峡の管理方法をめぐり、イラン内部で立場が食い違っている」と報じた。アラグチ氏は条件付きの緩和姿勢を示す一方、ガリバフ氏やIRGC系メディアはそうではないという。

 また、ワシントンに拠点を置く米シンクタンク「戦争研究所(インスティチュート・フォー・ザ・スタディー・オブ・ウォー=ISW)」は連日、イラン情勢の分析リポートを発表しており「この週末になり、イランの強硬派組織であるIRGCのアフマド・ヴァヒディ司令官とその側近グループが、イランおよび交渉チームの実権を事実上掌握した」との趣旨を伝えた。

 イラン最高国家安全保障会議の事務局長でIRGC出身のモハンマド・ゾルガドル氏の支持を取り付けたことで、超強硬派のヴァヒディ氏の権力基盤は一層強固になったという。そのため、イランは18日にホルムズ海峡の〝再封鎖〟を宣言するに至り、米国との再協議にも強気に出ているというわけだ。

 中東事情通は「ヴァヒディ氏がガリバフ氏やアラグチ氏より上位に立ち、モジタバ師の次に実権を持ったとみられます。IRGCはイラン国軍や外務省と違い、政権維持が最優先で、対米強硬のイデオロギー重視です。戦争は止まらず、エスカレートする方向でしょう」と指摘している。

 停戦は遠のくのか。