大ヒット中の競馬ドラマ、TBS日曜劇場「ザ・ロイヤルファミリー」が大きな話題を呼ぶ中、競馬界がザワついている。俳優・佐藤浩市が演じる破天荒な馬主・山王耕造について「モデルが実在する」「アイツで間違いない」とのウワサが競馬関係者の間を駆け巡っているという。真偽不明の情報が独り歩きする中、東スポでは複数の情報筋を頼りに徹底追跡。ついに山王の〝生き写し〟とされる人物への接触に成功した。果たして真相は?

「特定のモデルはいない」とされているが…

 競馬界はGⅠシーズン真っただ中。その盛り上がりに拍車をかけるように「ザ・ロイヤルファミリー」は初回放送(10月12日)から大反響を呼んでいる。最終回となる次週でクライマックスを迎えるが、視聴者の関心は劇中の競走馬、人、レースの“元ネタ”にも向かい、ネット上では「あの馬役はあの引退馬」「あのレース映像は〇年〇月の未勝利戦だ」など現実とドラマのすり合わせ、推理合戦もヒートアップしている。

 とりわけ視線を集めているのが佐藤浩市が演じる山王耕造だ。大手人材会社の社長にして馬主界の重鎮。粗野で豪胆、鋭い眼光と昭和のにおいをまとい、その一方で競馬愛は誰より深い〝異端のカリスマ〟だ。劇中ではすでに死を遂げているが、その存在感は今なお視聴者の心をつかんで離さない。原作者・早見和真氏は「特定のモデルはいない」と明言しているが、馬主や調教師らの間では「いや、モデルは実在する」「アイツで間違いない」「しかも当の本人が認めている」とのウワサが膨張しているという。

 調査を進めると、男の正体は株式会社貴悦の代表取締役・近藤勝安氏(70)であることが判明。JRA馬主歴35年の古参オーナーだ。なぜ山王のモデルとウワサされるのか? その根拠は複数ある。最も大きな理由は株式会社貴悦が1995年(第13回)中山牝馬ステークスの勝利馬・アルファキュートの馬主(代表者は現会長の近藤悦子さん)であること。劇中で山王の持ち馬・ロイヤルハピネスが同レースを優勝しているからだ。

 第1話で山王の社長室に「第13回中山牝馬ステークス」の優勝レイが飾られており、馬名こそ空白だったが視聴者は見逃さない。第5話では同レースの口取り写真(勝利馬と関係者の記念撮影)が画面にアップになると、ネットは「1995年…アルファキュートの年じゃ?」「ロイヤルハピネスはアルファキュート説?」と即反応。当然、馬主や調教師の間でも「近藤さんがモデルだったのか」と騒然となった。さらに「貴悦(きえつ)」という社名が「ロイヤル」を想起させる点も後押し。そして何よりの決定打は、近藤氏本人がどうやら「オレで間違いない」と認めているようなのだ。

 ならば直撃するしかない。記者が向かったのは東京・新橋のオフィス街。とあるビルの一室のインターホンを押すとガチャ…とドアが開く。出てきた男の姿を見て、息をのんだ。深い彫り、鋭い眼光、全身から放たれる昭和のオーラ。山王耕造がそのまま三次元に抜け出してきたような迫力だ。さらに部屋に通されると、ドラマで映し出された“あの優勝レイ”の実物が誇らしげに飾られているではないか。これは確定だ! そう信じた記者はインタビューを開始した。

アルファキュートの優勝レイを披露する近藤氏
アルファキュートの優勝レイを披露する近藤氏

 ――山王耕造のモデルとウワサされているようですが…
 近藤氏 はい、みんなから言われていますよ。第1話の放送直後に知り合いから「お前だったのか」とLINEが来ましてね。回を追うごとに馬主仲間や調教師から数えきれないほど連絡を受けていますよ。

 ――どう答えているのですか
 近藤「そうだよ。俺がモデルだよ」って。

 ――やっぱり本当なんですね
 近藤 いえ、ウソですよ。いちいち否定するのが面倒でね(笑い)。

 ――え? ちゃんと否定したほうがいいですよ
 近藤 そうですね。実際は関係ありません。TBSとも原作者とも一切つながりはないです。ここで正式に否定します。信じていた方はこの記事で初めて知るのでしょうか(笑い)。

 ――ドラマは見ているんですか
 近藤 もちろん。とても面白いですよ。馬主たちの感情がとてもリアルに描かれています。

 ――祝勝会は天ぷら屋ですか
 近藤 いえ、行きつけの焼き肉屋です。

 ――秘書に「俺を裏切るな!」とは
 近藤 秘書は娘なので絶対に裏切りません。

 ――隠し子は
 近藤 いません。

 ――最後に原作者の早見さん、TBSとJRAにひと言
 近藤 ウソをついちゃって、本当にすみませんでした。

 近藤氏は現在6頭の現役馬を所有。株式会社貴悦の現会長である母・近藤悦子さん(97)は今も健在、娘の真衣さん(39)も個人馬主として奮闘中。〝貴悦ファミリー〟は本家に勝るとも劣らない生きた馬主一族だ。

 ウワサはガセネタだったが、競馬界には山王耕造になり得るホースマンがごまんといる。そして、いつだって競馬は人々の想像をかき立てる。それが、この世界の魅力だ。

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