すでに実力は〝横綱級〟だ。日本相撲協会は26日、関脇安青錦(21=安治川)の大関昇進を正式に決定。ウクライナ出身初の新大関は、伝達式で「大関の名に恥じぬよう、またさらに上を目指して精進いたします」と口上を述べた。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、安青錦の「心技体」を徹底分析。規格外の強さを指摘した上で、横綱候補としても太鼓判を押した。

 安青錦は伝達式後の会見で「もう一つ上の番付(横綱)があるので、一番上を目指してやっていきたい」と力強く決意表明。「相撲協会の看板は横綱大関なので。しっかり責任を持って、やっていきたい」と早くも自覚をのぞかせた。

 九州場所では初優勝を達成。身長182センチ、体重140キロは幕内の中でも軽量の部類に入る。その強さの秘密はどこにあるのか。

 秀ノ山親方は「前傾姿勢を保ちながら前に出ていく相撲が特長。相手の当たりを受け止めてから攻めるので、変化やはたきを食わない。相手側から見ると、低い重心で下から押し上げてくるし、前さばきもうまい。なかなか対処方法がない」と分析する。九州場所千秋楽で取った2番の相撲に、安青錦の強さが凝縮されていたという。

 本割では大関琴桜(28=佐渡ヶ嶽)に低く頭をつけた体勢から内無双を一閃。「琴桜は上手を取って、上から体重を乗せてつぶしにかかっていた。相手にはかなりの圧力がかかっているはずなんですよ。それなのに、安青錦は落ちることなく内無双を出した。腹筋と背筋が相当強くなければできない」と舌を巻く。

 続く決定戦では横綱豊昇龍(26=立浪)の突きに一歩も引かず前に出ると、最後は相手を後ろ向きにして送り投げ。「鋭く踏み込んだ横綱に、下から攻めて何もさせなかった。どちらが番付が上なのか分からない相撲。名古屋場所の優勝争いでは緊張して硬くなっていたけれど、今回は本割、決定戦ともに仕切りから淡々とした顔つきで落ち着いていた。メンタル面でも大きく成長した」と絶賛した。

 新入幕から5場所連続で11勝以上をマークし、三役をわずか2場所で通過した。年6場所制となった1958年以降、初土俵から所要14場所で新大関は琴欧洲の19場所を更新して歴代1位(付け出しを除く)の最速記録。21歳8か月で大関昇進は貴乃花(20歳5か月)、北の湖(同8か月)、白鵬(21歳0か月)に次ぐ4位の年少記録だ。

 秀ノ山親方は「幕内の上位と下位では圧力に大きな違いがある。最初は上位の壁に、はね返されるのが普通。そこから何度か対戦していくうちに、圧力に慣れてさばけるようになっていく。壁に当たらずに突き抜けていくのは、地力がないとできない」と超速出世に脱帽。「以前に言った通り、すでに両横綱(大の里、豊昇龍)に次ぐ力がある。間違いなく横綱候補」と太鼓判を押した。

 初場所(来年1月11日初日、東京・両国国技館)では〝超人大関〟のデビューに注目が集まる。