【ダイアー・ストレイツ/悲しきサルタン(1978年)】

 孤高の音楽を貫いた名ギタリスト、マーク・ノップラー率いる英国の国民的バンドのファーストアルバム。ニュー・ウェーブ全盛期に突然現れた超絶テクニックの硬質かつ、他に類を見ない独特のギター音はジャンル分けができないほど衝撃的であった。

 親指のフィンガーピッキングで速弾きする音はマークにしか出せないものであり、どうやったらこんな弾き方と硬質な音が出せるのか驚きしかなく、誰もまねができなかった。そこにボブ・ディランのような声質のマークのボーカルが重なる。聴く者はもちろん他のミュージシャンにも大きな衝撃を与えて全米2位、全英5位を記録。結果的に世界中で1500万枚以上を売り上げた。

 冒頭の「水辺へ」から硬質なギターがゆるやかに鳴り響き、スライド音が心地よい「ウォーター・オブ・ラヴ」「シックス・ブレイド・ナイフ」「サウスバウンド・アゲイン」と息もつかせぬ名曲群が続く。

 そしてB面1曲目はアルバム最大のヒット曲にしてバンドの代表曲となった「悲しきサルタン」(全米4位)。歌の合間に聴いたことがないようなギターが鳴り響き、ラストは驚異的な速弾きが展開される。この曲の衝撃は40年以上経過した今でも色あせることはない。ラストを飾る「ライオン」も名曲である。

 その後もバンドは傑作を出し続け、85年の「ブラザーズ・イン・アームス」は全米1位、シングルの「マネー・フォー・ナッシング」も全米1位を記録する世界的メガヒットとなり、88年に解散(91~95年に再結成)するが、衝撃度という点ではやはりファーストが群を抜いていた。マークはソロ活動後もコンスタントにアルバムを発表し続け、多くの傑作を生んでいる。