眠れる大器が覚醒した。大相撲名古屋場所千秋楽(27日、愛知・IGアリーナ)、幕内琴勝峰(25=佐渡ヶ嶽)が幕内安青錦(21=安治川)を突き落として、13勝2敗で初優勝。今場所は新横綱大の里(25=二所ノ関)を撃破するなど快進撃を続け、賜杯をつかんだ。兄弟子で元大関琴奨菊の秀ノ山親方(41=本紙評論家)は、琴勝峰の強さの秘密を徹底解説。また、自身の現役時代の代名詞だった「琴バウアー」の〝後継者〟にも指名した。

 琴勝峰は表彰式の優勝力士インタビューで「まだ感情が追いついていない感じ。でも、うれしいです」と夢心地の様子。会場を訪れた両親と妻、1歳の長男の前で賜杯を抱いたことには「少しはいい姿を見せられたのかな」と言って、はにかんだ。かねて師匠の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)が「最低でも大関」と期待する大器。足のケガなどで上位には定着できずにいたが、今場所は大の里から金星を獲得するなど快進撃を続けた。

 秀ノ山親方は弟弟子の初優勝に「本当にうれしい。本人には心から『おめでとう』と言いたいですね」と祝福。今場所の活躍については「立ち合いからしっかり当たって相手に圧力をかけていた。取り口は突き放したり、四つに組みにいったり。相手としては、つかみどころがなくて、やりにくさを感じていたのでは。それと、今場所は弟(琴栄峰)が新入幕を果たしたことも刺激になっていた。兄として頑張らなければという思いが、土俵上の集中力につながっていた」と分析した。

 現役時代には、琴勝峰と稽古やトレーニングでともに汗を流した。その当時から、弟弟子には底知れない潜在能力を感じていたという。「『柔』と『剛』の要素を併せ持っている力士。体が柔らかくて懐も深い。それでいて、腕力がとてつもなく強い。パワーだけを単純に比べれば、琴桜よりも上。まだ形がなくて未完成だけど、大関以上を狙えるポテンシャルは十分にある」と太鼓判を押した。

琴勝峰が取組前に見せていたポーズ
琴勝峰が取組前に見せていたポーズ

 さらに、秀ノ山親方は琴勝峰が今場所の仕切り前に実践していたルーティンにも注目する。「私のように、取組前にのけぞるようなポーズを今場所はしていましたよね。あれで、自分のリズムをつくれていたのでは。戦う前に気持ちを引き締める意味でも、ルーティンには効果がある」と指摘。同親方は現役時代、仕切り前に背中を大きく反らせる「琴バウアー」が代名詞だった。「私をまねたのかどうかは分かりませんが、遠慮せずにやってほしいですね(笑い)」と〝後継者〟に指名した。

 琴勝峰は来場所以降に向けて「(番付を)上に上に。とりあえず三役、そしてその先も見据えてやっていきたい」と意欲十分。ついに覚醒した大器の今後に注目だ。