元タレントの中居正広氏の女性トラブルに端を発するフジテレビの一連の問題で、フジの親会社フジ・メディア・ホールディングス(HD)は27日、両社の取締役相談役を務める〝フジのドン〟日枝久氏(87)の退任を発表した。ただし、フジ・メディアHDの金光修社長から日枝氏報道に疑問を呈する場面も…。同氏に対する厳しい言葉は出ることはなく、局員からは「本当に改革できるのか?」と不安視する声が噴出している。

 この日、フジテレビと親会社のフジ・メディアHDの定例取締役会が行われた。日枝氏はHDとフジの取締役を退任し、フジサンケイグループ代表も辞任する。また、HDで代表取締役社長を務めていた金光氏が取締役会長に就任。フジテレビの清水賢治社長がHDでも代表取締役社長を兼務することが決定した。ほかにもフジは取締役を半数以下にし、女性比率を3割以上にする。

 取締役会後、東京・台場の同局で会見を行った金光氏と清水氏は〝経営体制刷新〟を強調したが、報道陣の質問は日枝氏に関するものに集中した。一連の問題にはフジの企業風土が背景にあるとされており、やはり41年間にわたって取締役を務めた日枝氏の責任が問われるからだ。

 ところが、日枝体制についての反省点について、清水氏は「長年やっていると成功体験にとらわれやすい。それは日枝どうこうよりもフジテレビにイノベーションのジレンマが起こった」と日枝氏だけの責任ではないと説明すれば、金光氏も「私は、日枝さんに言われたことで違うことは違うと比較的言ってきた方。それに対してちゃんと答えてくれる」と評価した。

 それだけではない。日枝氏の退任を求める報道が過熱したことに、金光氏はこう疑問を呈したのだ。

「週刊誌、新聞、テレビ、SNSにいろんな情報が飛び交った。信頼性や信ぴょう性が定かではない中で世論が形成され、このような(退任を求める)風評ができあがっている。メディアと世論の作り方に関して、どういうメカニズムになっているかを研究したい」

 また、清水氏も「一番有名人で長く在籍している。世間は有名人の日枝さんにどうしても目が行ってしまうからこのような形になった。社会の雰囲気も影響している」と主張。全社員の約9割にあたる1000人が参加した1月23日の社員説明会でも、社員から〝日枝体制〟への批判の声が多く上がったが、「社員も世論なんですよね」と、その雰囲気に影響されたとした。

 これにフジ局員は真っ向否定する。

「フジの労組は真っ先に日枝さんの会見出席を求めたし、社員説明会でも〝日枝体制〟が一新されなければフジの立て直しはできないと訴え、会場は大きな拍手に包まれた。日枝さんの顔色をうかがっていた社内ムードを証言する社員の声もあった。この感覚は社内で長年培われたもので、報道で作られた世論に流されたものではない」

 問題発覚後、フジの労働組合員は6倍の500人超となり、社員の半分が加入したという。それだけ危機感を募らせているのだ。

「会見では、日枝さんの〝院政〟について金光さんは否定していましたが、心配する局員もまだ多い。スポンサー離れは深刻で、4月以降も7割弱がスポンサー継続か判断を保留。フジは年々ボーナスが下落していますが、今年は大幅減が予想され、みんな不安でいっぱいです。清水さん、金光さんから日枝さんに厳しい言葉が出なかったことで、本当に生まれ変われるのか心配になる」(同)

 3月末をめどに第三者委員会の報告があり、会見も実施される予定。その内容も今後に大きく影響することだろう。フジの再生はまだまだ予断を許さない。