【取材の裏側 現場ノート】大相撲九州場所で、元関脇の幕下若隆景(28=荒汐)が約8か月ぶりの土俵復帰を果たした。3月の春場所中に右膝前十字靱帯断裂の大けがを負って途中休場し、翌月には靱帯再建手術を受けた。3場所連続の全休を経て、黒まわしを締めての再出発。4日目の2番相撲で幕下栃神山を寄り切って、236日ぶりの白星を挙げた。

 もともと本場所中はめったに心の内を見せない力士が、取組後に「自分の相撲を取ろうと思っていきました。ホッとした気分。そういう気持ちがある」と素直に心情を吐露した言葉が印象的だった。昨年の春場所では、新関脇の地位で初優勝。そこから6場所連続で勝ち越し、角界内では大関候補の筆頭格と目されていた。

 元関脇若の里の西岩親方も、若隆景が負傷する以前には次のように評していた。「相撲のうまさという点では、今の横綱や大関以上のものを持っている。おっつけや、まわしを取った時のうまさや強さは、すでに大関の力がある。ただ、負ける時は軽量を突かれて一気に押し出されるのが一番の弱点。それを克服するために押し返す馬力さえつけば、すぐにでも大関になれる」

 その若隆景が戦列を離れている間に、霧島(陸奥)と豊昇龍(立浪)の2人の新大関が誕生。本人も、内心では期するものがあるはず。来年は和製大関候補の完全復活に期待したい。