早くも正念場だ。大相撲九州場所4日目(15日、福岡国際センター)、大関貴景勝(27=常盤山)が幕内明生(28=立浪)に屈して土がついた。今場所での横綱昇進には好成績での連覇が求められる中、序盤で平幕に痛恨の取りこぼし。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は貴景勝の敗因を分析するとともに、ここから優勝を目指していく上でのポイントを指摘した。
痛すぎる黒星だ。貴景勝は出足で明生を押し切ることができず、引いてからは守勢に回った。相手にいなされて体勢を崩すと、最後は棒立ちになって寄り切られた。取組後は「その日、その日でしっかり準備してやっている。やってきたことを信じてやるしかない。また明日、一生懸命準備して、最後にどうなっているか。頑張ります」と必死に気持ちを切り替えた。
秀ノ山親方は、貴景勝の相撲内容について「明生の馬力を警戒するあまり、相手に合わせにいくような立ち合いをしてしまった。当たるポイントが高いから、うまく圧力が伝わらなかった。突き起こせていないから、いなしたり引いたりしても相手のバランスを崩し切れない。逆に明生から見れば、ただ相手がバタバタしてくれたなという感覚だったのでは」と分析した。
9月の秋場所は4度目の優勝を果たす一方で、星数は11勝どまり。優勝決定戦で見せた注文相撲も評価を落とす要因となった。審判部長の佐渡ヶ嶽親方(元関脇琴ノ若)は貴景勝の綱取りの可能性について「最後まで見てみないと分からない」と一貫して慎重な姿勢。横綱昇進の機運を高めるためには「連覇」「好成績」「好内容」の全ての条件を満たす必要がある。
ただでさえ高いハードルに加えて、この日は元三役で実力者の明生が相手。秀ノ山親方は「貴景勝は『勝たないといけない』と意識しすぎて、相撲が守りに入ってしまった印象。横綱を目指すのであれば、常に挑戦者の気持ちで臨むべき。立ち合いから迷いなく踏み込めるか。相手に勝つ以前に、まず自分に勝つこと」と指摘した。
もちろん、この1敗で綱取りのチャンスが完全に消滅したわけではない。優勝争いは全勝の大関豊昇龍(24=立浪)らを1差で追いかける展開。まだ貴景勝にも、逆転の可能性は十分に残されている。仮に今場所で横綱の声がかからなかったとしても、千秋楽までの内容次第では来場所以降に再チャレンジの余地を残すことができる。
秀ノ山親方は「貴景勝にとっては、むしろここからが大事。今後の相撲内容が問われることになると思う。この負けを引きずるのではなく、本来の貴景勝らしい馬力と迫力のある相撲を見せることができるか。それができれば、優勝と次のステップの横綱も近づいてくるはず」と一層の奮起を求めた。綱取りの成否は別にして、貴景勝は「横綱候補」としての真価が問われることになりそうだ。













