和製大関の〝注文相撲〟が波紋を広げている。大相撲秋場所千秋楽(24日、東京・両国国技館)、大関貴景勝(27=常盤山)が幕内熱海富士(21=伊勢ヶ浜)との優勝決定戦を制し、11勝4敗の成績で4場所ぶり4度目の賜杯を抱いた。一方で、貴景勝が見せた変わり気味の立ち合いを巡り、角界内外で賛否が渦巻く論争に発展。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)の見解は――。
貴景勝は本割で関脇大栄翔(追手風)を送り出して快勝。賜杯の行方は熱海富士との決定戦に持ち越された。この注目の大一番が、物議を醸すことになる。貴景勝は立ち合いで左へ変わり気味に動くと、前のめりになった熱海富士をはたき込んであっけなく勝負を決めた。熱戦を期待した超満員の観客からは大きなタメ息が漏れ、館内はしばらく騒然とした雰囲気に包まれた。
貴景勝は表彰式の優勝力士インタビューで「優勝して、うれしいです。絶対に負けられないという強い気持ちでやりました。(決定戦は)右差しを徹底して封じようと思った。ああいう形で決まるとは思わなかったんですけど、集中して自分のやるべきことをやりました」と胸を張った。一方で、その相撲内容を巡っては賛否両論が噴出。ファンの間では批判的な意見も少なくない。
そうした中、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)は「内容には、ちょっとガッカリした」と本音をのぞかせつつも「(相手を)持っていく自信、体力がなかったのだろう。貴景勝も、休場明けで精いっぱい。前の相撲(本割)で力を出し切って、精根尽きていたのでは。大関の責任は果たした」と一定の理解を示した。
秀ノ山親方も「本人が優勝インタビューで話していたように、熱海富士の右差しを封じようとして立ち合った意図を踏まえると〝変化〟というよりも勝ちにいった結果。相手をよく研究して、考え抜いた末の選択だったと思う。もちろん、自分も正面からいく相撲が見たい気持ちはある。ただ、大関は結果が求められる地位。勝負に徹したとしても責められない」と指摘した。
いずれにせよ、優勝力士として臨む次の九州場所は「横綱候補」としても真価が問われることになりそうだ。綱取りには「大関で2場所連続優勝」が条件とされる中、佐渡ヶ嶽審判部長(元関脇琴ノ若)は「11勝ですからね。来場所の千秋楽まで見てみないと何とも言えない」と慎重な姿勢を示している。
横綱昇進を果たすためには、連続優勝だけでなく「全勝」などのハイレベルな成績が求められる可能性が高い。貴景勝は高いハードルをクリアして綱をつかむことができるのか。その動向から目が離せない。












