〝ミラクル綱取り〟はなるか。大相撲九州場所初日(12日、福岡国際センター)、大関貴景勝(27=常盤山)が小結北勝富士(31=八角)を押し出して白星発進した。秋場所では優勝決定戦で見せた注文相撲が議論を呼んだ中、元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は貴景勝に芽生えた「覚悟」を指摘。横綱昇進の条件となる好成績での連覇についても「可能性は十分にある」と太鼓判を押した。
貴景勝が2場所連続優勝へ向けて好スタートを切った。北勝富士には過去13勝11敗と苦戦し、先場所も初日に黒星を喫した難敵。その相手が中途半端に立った隙を見逃さず、一方的に押し出して勝負を決めた。秀ノ山親方は「貴景勝が立ち合いの集中力の違いを見せた。北勝富士は相手に合わせようとしすぎて、立ち遅れたのでは。大関は迷いなく踏み込んで、しっかり相手を見ながら圧力をかけていた」と分析した。
また、同親方は貴景勝が土俵上で見せた表情にも注目する。「貴景勝は顔つきからも気迫が伝わってきた。おそらく、この場所の意味を誰よりも分かっているはず。先場所は優勝したけど、相撲内容で周りを納得させることができなかった。本人も悔しい思いをしただろうし『自分の相撲はこうあるべき』という覚悟を持って戦っているように見えた」と指摘した。
9月の秋場所は4度目の賜杯を抱いた一方で、星数は11勝4敗にとどまった。そして何より、千秋楽の優勝決定戦で見せた注文相撲が評価を落とす要因となった。悲願の横綱昇進を果たすためにはハイレベルな成績での優勝だけでなく、相撲内容も問われる状況。貴景勝は自らの置かれた立場を理解した上で、今場所に臨んでいるとの見立てだ。
〝鬼門〟を突破できたことも大きい。貴景勝が出場した過去6場所(全休を除く)で、初日の黒星は3度ある。秀ノ山親方は「気持ちの部分に限って言えば、初日の重みは『15分の1』ではない。最初に自分の相撲で勝てば自信になるし、特に押し相撲の場合は連勝すればどんどん勢いに乗っていける。その意味でも大きな1勝」と指摘。好成績での連覇についても「可能性は十分にある」と太鼓判を押した。
その貴景勝は「今日一生懸命やった人が、次に進めるという気持ち」と目の前の一番に全力を尽くす構え。場所前に悪化させた首の古傷について問われると「出場している時点で、そういう質問はしないでほしい」と語気を強めた。果たして和製大関は、白星を積み重ねて綱取りの機運を高めることができるのか。今後の土俵人生を左右する15日間となりそうだ。












