ボクシングのWBC&WBO世界スーパーバンタム級王者・井上尚弥(30)が、WBA&IBF同級王者マーロン・タパレス(31=フィリピン)との4団体統一戦(12月26日、東京・有明アリーナ)に臨む。世界が注目する一戦について、両者と拳を交えた元東洋太平洋同級王者の勅使河原弘晶氏(33)が徹底分析。対峙したからこそ知る両者の強さの秘密を明かした上で、勝敗の行方についても率直に語った。

 史上2人目となる2階級での4団体統一に挑む井上に、〝ナイトメア(悪夢)〟の異名を持つタパレスが立ちふさがる。井上が圧倒的に有利との見方が多いが、タパレスは4月に強豪のムロジョン・アフマダリエフ(ウズベキスタン)に判定勝ちを収めて2本のベルトを奪っているだけに、油断は禁物だ。

 タパレスについて、2021年に米国で行われたIBF世界スーパーバンタム級王座挑戦者決定戦で敗れ、22年4月に引退を発表した勅使河原氏は「もちろん強い。大きく振るパンチのイメージがあるけど、意外と技術がある。死角から打つパンチがうまい」と語る。好戦的なサウスポーだが、テクニックもあるようだ。

 勅使河原氏は、一番印象に残ったパンチとして右フックを挙げた。「基本的にサウスポーの右フックは見えづらいけど、特にタパレスは見えづらかった。独特な打ち方で、死角から飛び込んでくる。試合映像では大きく振っているように見えるけど、いざ戦ってみると見えづらい」と明かす。右の〝消えるフック〟には要注意だ。

 このほかにも、警戒すべきポイントとして「スピードとか簡単な言葉では言い表せないけど、距離感をつかむのがうまい。一番危ない距離というか、一番パンチが効く距離感で試合をする感じだった」。タパレスの得意な距離に入らせないことが、勝負の分かれ目となりそうだ。

 一方で、勅使河原氏は2度〝モンスター〟のスパーリングパートナーを務めた経験も持つ。井上について「特別な選手だし、強いのひと言。パンチ力がずば抜けていてスピードもあるけど、一番はボクシングIQが高くて、(対戦中に)手を打っても全てに対応してくる。先を読んで動いてくるし、駆け引きもうまい。全てにおいて、3段階ぐらい飛び抜けている」とそのすごみを語った。

 両者と拳を交えた勅使河原氏に、勝負の行方を問うと「自分のボクシング人生を全て奪ったタパレスに勝ってほしい気持ちもあるけど、尚弥選手に勝つのは厳しいと思う。どういう見せ方で勝つのかを、すごく考えているしチャンスがあれば必ず倒しに来る。中盤から終盤にかけて、KOで勝つと思う」と井上勝利を予想。〝モンスター〟は、やはり別格のようだ。

 快挙達成へ、年末決戦に大きな注目が集まる。