〝逆転V〟はなるか。大相撲秋場所4日目(13日、東京・両国国技館)、大関カド番の貴景勝(27=常盤山)が幕内朝乃山(29=高砂)をはたき込んで3連勝(1敗)。新大関豊昇龍(24=立浪)と同2場所目の霧島(27=陸奥)が連敗する中、大関在位25場所の先輩格が復調の兆しを見せている。元大関琴奨菊の秀ノ山親方(39=本紙評論家)は貴景勝の相撲内容を分析した上で〝新参組〟との違いを指摘した。

 貴景勝が元大関の朝乃山に番付の違いを見せつけた。低く当たって前に圧力をかけ続けると、最後ははたき込んで土俵にはわせた。取組後は「一日一日の積み重ね。一生懸命やりました」とうなずいた。先場所は両ヒザの半月板損傷で全休を余儀なくされた。自身7度目のカド番で臨む今場所は初日の黒星から3連勝。日ごとに調子を上げてきている。

 秀ノ山親方は「貴景勝らしさが出た一番。しっかり踏み込んでリズム良く突き押しが出るかが、貴景勝の調子を測るバロメーター。初日は足が出ず、その後の2日間は勝ったけど、受けながらの相撲。ヒザの感覚を確かめながらだったと思う。今日は全く怖がっていなかったし〝いける〟と気持ちが切り替わったはず。気分よく次の一番に集中できる」と相撲内容を分析した。

 この日は大関2場所目の霧島が2連敗。新大関の豊昇龍は3連敗を喫し、優勝争いから大きく後退した。横綱照ノ富士(31=伊勢ヶ浜)が不在の今場所は、大関に駆け上がった〝新参組〟がV争いを引っ張る展開も予想された中、始まってみれば全休明けの貴景勝が連勝する格好となった。新旧の大関で、明暗を分けたものは何なのか。

 秀ノ山親方は「霧島と豊昇龍は『勝たなきゃいけない』とか『期待に応えなきゃいけない』という気持ちになりすぎて、本来の相撲が取れていない。これが大関の重圧。下の力士たちも大関にひと泡吹かせようと必死に立ち向かってくる。貴景勝には経験があるし、重圧をはね返す精神的な強さがある。どんどん新しい大関が上がってくる中で、先に上がった意地もあるはず」と指摘した。

 4日目を終えて、すでに役力士の中で全勝は消滅。このまま貴景勝が白星を重ねていけば、横綱以外では現役最多となる4度目の優勝も見えてくる。秀ノ山親方は「もともと責任感が強い力士だし、勢いに乗った時の爆発力はトップクラス。目の前の一番を勝ち切っていけば、優勝争いを盛り上げてくれると思う」と期待を寄せた。

 貴景勝自身も「大関は優勝か、それ以外しかない。三賞もないし、優勝しか目指してない」と気合を入れている。大関カド番で優勝した力士は過去8人。〝逆転V〟を狙う和製大関の土俵から目が離せない。