プロレスラーの谷津嘉章(66)が1日、レスリングの全日本社会人選手権(1日、埼玉・富士見市立市民総合体育館)男子フリー125キロ級に出場した。

 谷津は、2019年に糖尿病の悪化で右ヒザ下を切断後、日本障がい者レスリング連盟を立ち上げた。将来的にはパラリンピック正式種目入りを目指しており、障がい者レスリングの普及発展のため、今大会に出場した。

 1986年の全日本選手権130キロ級で優勝して以来、37年ぶりの公式戦。初戦の準々決勝で釼持洋祐に0―10のテクニカルフォールで敗れたが、試合終了後には会場内から惜しみない拍手が送られた。

全日本選手権に出場した谷津嘉章
全日本選手権に出場した谷津嘉章

 この結果を受けて、谷津は「一矢を報えれば勝てると思っていたけど、これが現実ですよ。キャスティングも何もしない世界だから、結果を受け止めるしかない。次は、健常者から1ポイントでも2ポイントでも取りたい気持ちが湧いてきた」と語った。

 障がい者レスリング連盟には役員24人が在籍するが、選手は現時点で谷津1人。今後の啓発に向けて「対戦相手が今のところ健常者しかいない。これから始める障がい者の方も、こんな感じでやれるのだなと、一つの見本になればいい」と熱弁した。

 障がい者レスリングが持つ可能性についても「パラリンピックの格闘技には、視覚障がい者柔道しかない。柔道だと、組み手で(道着を)持たないといけないから義足だとできない。そういう意味では、コンタクト系種目のレスリングの方が向いてると思う」と、幅広い人に向いていると説明する。

 谷津は「レスリング自体がマイナースポーツで、知らない人も多いと思うから、自分がこうやって啓発していきたい。自分ももうすぐ67歳だから、病気との兼ね合いもあっていつまでできるかはわからない。だけど、こうやってユニホームを着て若い子たちとレスリングができるのが幸せです」と周囲への感謝を口にした。