【ニュースシネマパラダイス】どうも! 有村昆です。大麻取締法違反(所持)の疑いで逮捕された俳優の永山絢斗容疑者が出演している映画「東京リベンジャーズ2 血のハロウィン編―決戦―」が、予定通り30日に公開されることになりました。

 こうした事件が起きると問題になるのが、作品を公開するか否かです。やったことは許されないですし、映画に関わる人間としても非常に悲しい。ただ、作品が公開されないと出演者、スタッフ、ファンなどより多くの人を悲しまるせることも事実ですよね。もちろん、事件の種類にもよるのでケース・バイ・ケースですが、改めて薬物の怖さを痛感させられました。

 今回は、薬物依存症の息子を守ろうとする母親の愛を描いたジュリア・ロバーツの主演映画「ベン・イズ・バック」(2018年)を紹介します。

 クリスマスイブの朝に突然、息子のベンが帰って来るところから物語は始まります。ヘロイン中毒のベンは薬物医療施設を抜け出して帰ってきたんですね。ジュリア・ロバーツ演じる母親のホリーは久々の再会を喜び迎え入れますが、継父と姉は戸惑いつつも1日だけ家族と過ごすことを受け入れます。

 ところが、ベンが戻ってきたことを周囲に知られてしまいます。家族がクリスマスの催しのあった外出先から戻ると家の中が荒らされ、愛犬が消えていました。過去の報いに違いないと思ったベンは家を飛び出してしまいます。居場所がなく孤独にさいなまれたベンに近寄ってきたのは薬の売人…。結末はぜひ、本編でご覧ください。

 ハリウッドでも俳優の薬物依存トラブルはありますし、日本以上でしょう。そんな中、「アイアンマン」シリーズでおなじみのロバート・ダウニー・ジュニアは薬物依存から更生し、見事にカムバックしました。アメリカでは更生には治療とサポートが必要という理解があるように思います。

 こう言うと芸能界は薬物に甘過ぎるという批判もあると思います。兄の永山瑛太さんは絢斗さんが逮捕された直後に報道陣の取材に対して「俺は許さない。それだけですね」とコメントしました。兄弟にしか分からない感情があることも理解できます。ただ、孤立させないことが重要です。

 今回、失った信用は大きいですが、再起への道を閉ざすようなことはあってほしくないと思います。絢斗さんはどんな作品にもなじむ味のある俳優です。こんなことで挫折してほしくはありません。そういう意味でも「ベン――」は、薬物依存というものがサポートする側も含めた社会全体の問題だと考えさせられる一本です。

☆ありむら・こん 1976年7月2日生まれ。マレーシア出身。玉川大学文学部芸術学科卒業。ローカル局のラジオDJからキャリアをスタートさせ、その後映画コメンテーターとしてテレビ番組やイベントに引っ張りだこに。最新作からB級映画まで年間500本の作品を鑑賞。ユーチューブチャンネル「有村昆のシネマラボ」で紹介している。