映画「法廷遊戯」(11月10日公開)の主演を「King&Prince」の永瀬廉が務めることがこのほど発表された。原作を手掛けたのは現役弁護士にして作家の五十嵐律人氏(32)だ。デビュー作がいきなりジャニーズタレントで映画化されることに本人もビックリ。文芸業界から注目を集める次世代スター作家候補の素顔に迫ると――。

 ――なぜ弁護士作家に

 五十嵐 法学部で法律の面白さを知り、もっと勉強がしたいと法科大学院へ。司法試験に合格したものの、燃え尽き症候群のようになったんですよ。そんな時、ふと学生時代に小説を書いていたな、と。当時は書きたいものが見つからず挫折してしまったけれど、今なら法律に関する物語が書けるのではと思い、執筆を始めました。裁判所に勤務しながら新人賞に応募し続け、3年くらいでデビューが決定。せっかくなら作家になるタイミングで弁護士業にも挑戦したいと思い、司法修習に通い直し、今に至ります。

 ――小説を書く上で注意している点は

 五十嵐 現役弁護士が書くリーガルミステリーだから、すべて本当なのだろうという前提で読まれることは免れない。とはいえ、あくまでもエンタメなので、物語を展開させるためにウソを織り交ぜることもあります。事実を忠実に描く部分と、エンタメに昇華させる部分のバランスは常に考えながら物語を組み立てていますね。

 ――デビュー作「法廷遊戯」は法科大学院が舞台のミステリーだ

 五十嵐「冤罪」と「刑事裁判」をテーマにしようと思った時、それらを正面から書くと専門的になりすぎてしまう。だから「法科大学院の学生たちが、実際に罰が下される模擬裁判的なゲームを行う」という入り口を用意しました。それが後半で本当の刑事裁判に発展していく、と。

 ――弁護士と作家の両立は大変では

 五十嵐 弁護士の仕事は突発的に入ってくることが多い。それが締め切り直前だと大変ですね。優先すべきは弁護士の方なので。ただ、弁護士は1年後の仕事が決まっていないのに対し、作家は半年後、1年後が決まっている。そういう意味では短距離走と長距離走をやっている感覚です。

 ――今回「法廷遊戯」が実写映画化

 五十嵐 月並みだが、すごくうれしい。人生で初めて長生きしたいと思いましたよ。すぐ人間ドックを予約しました(笑い)。

 ――もともと健康に気を使わないタイプ?

 五十嵐 そうかもしれません。運動したほうがいいと思っているけれど、そもそも運動をするための筋力がないので前に進めず…。

 ――基本的にインドア派

 五十嵐 極度の方向音痴なんですよ。

 ――知的なイメージなのに意外だ

 五十嵐 生活全般が苦手です。髪を洗っている時、流しているのがシャンプーかリンスかわからなくなってリンスを2回やることがあるんですよ。あと、有料駐輪場に自転車を止めたのを忘れて歩いて帰って、3日後に気付くこともあります(笑い)。

 ――趣味はある

 五十嵐 麻雀が好きで、Mリーグをよく見ています。週4日放送で1回約4時間。あれを毎回見ていなければ、もっと小説が書けていたかもしれません。

 ――今後は

 五十嵐 弁護士作家という今の肩書は気に入ってます。どちらの仕事も楽しくやれているし、新たに書きたいテーマを見つけることも含め、いろいろな挑戦をしていきたいです。

 ――最後に座右の銘を

 五十嵐「媚(こ)びず驕(おご)らず」。とある先輩作家さんから、作家たるもの媚びず驕らずの姿勢が大事だと言われたので。この言葉を胸に、今後も弁護士と作家の活動を続けたいと思います。(聞き手=フリーライター・渡辺ありさ)

☆いがらし・りつと 1990年生まれ。岩手県出身。東北大学法学部卒業。弁護士(ベリーベスト法律事務所、第一東京弁護士会)。「法廷遊戯」で第62回メフィスト賞を受賞してデビュー。同作の文庫が4月14日に発売される。