元お笑いコンビ「ジャリズム」のインタビューマン山下(54)の副業が絶好調だ。山下しげのり名義でプロデュースする「山下本気うどん」が関東を中心に9店舗を展開。来月には10店舗目のオープンを控える。そんな実業家としての顔のほかに、芸能ライターとしても活動しているが、芸人としての原点は変わらない。紆余曲折を経て至った現在の思いを聞いてみると――。

〝本気ポーズ〟も披露?
〝本気ポーズ〟も披露?

 2012年に宮迫博之と今田耕司からそれぞれ500万円の出資を受け「山下本気うどん」を東京・目黒にオープンした。現在は関東を中心に9店舗を展開し、4月10日に10店舗目となる川崎店のオープンを予定している。山下は「飲食店で10年続けられるのは全体の10%らしいんですよ。続けられているのはありがたいことです」。

 うどん店を始めたきっかけは芸人としての将来への不安だ。相方・渡辺あつむとお笑いコンビ「ジャリズム」として活動するも1998年に解散。04年に再結成すると渡辺が「3の倍数と3が付く数字の時だけアホになります」というピンネタでブレーク。コンビ格差が生まれ、山下はいわゆる“じゃない方芸人”となった。当時の心境について「そういうノリでやってましたけど、アイツのおかげで仕事をもらえましたし、内心はありがたいなと思ってました。ただコンビとしてもうちょっと頑張れればよかったんですけど」と話す。

 中堅芸人としての厳しい現実にも直面した。

「芸人だけの仕事で成立している人は氷山の一角。それに吉本って後輩におごったりせなアカンので。お金もなくなってきて生活できないと思った。収入源を考えないといけないと思ってうどん屋を始めました」

 11年に再びコンビを解散し、渡辺は落語家に転身。一方、うどん文化が盛んな香川県出身で、うどんの名店の食べ歩きが趣味だった山下は、都内のうどん店の味にほれ込み弟子入りした。そして1年間の修業を経て出店にこぎつけた。店名を命名したのは堺正章だ。

「宮迫さんが堺さんと仲が良くて。食事会に呼んでもらった時に『うどん屋さんをやろうと思ってます』って言ったら堺さんが『名前付けてあげるよ』と。『本気でやれよ』という叱咤なんですけど、正直ダサかった(笑い)。でも堺さんに『やめときますわ』とか言えなくて。今はすごく感謝してます」

 21年には商標権を株式会社ガーデンに譲渡。現在はプロデュースという形で店舗経営に関わっており、収入面での安定を手に入れた。サラリーマンで例えるなら「FIRE」(経済的に自立し仕事を早期リタイアすること)することも可能だったが、山下は「FIREしたところで楽しいのは最初の1年ぐらい。みんな仕事に戻ってくるっていいますから」と芸人の世界に再び戻った。

 実業家として周囲がうらやむ成功を手にしたが、笑いでウケた快感を超えなかったというのもある。結局17年に芸人を引退し、芸能ライターに転身することになる。だが、芸人への思いは募る一方だった。

「インタビューをしていると芸人さんがキラキラして見える。M―1に挑戦する若手の子らを見ていたら、うらやましくなった」

 21年に芸人に復帰し街裏ぴんくとの期間限定ユニット「山下ぴんく」を結成。M―1に挑戦した。

 ジャリズム3度目の結成はあるのか。

「(渡辺が)落語家をやっているので難しいんじゃないかなと思う。ただM―1は(出場資格がコンビ結成)15年以内やから解散期間もあるんであと1回チャレンジができる。今年のM―1の相方もまだ決まってないので(笑い)」

“山下本気芸人”としてお笑いドリームを追い続ける。

 ☆やました・しげのり 1968年10月29日生まれ。香川県出身。91年に渡辺あつむとお笑いコンビ「ジャリズム」を結成。98年に解散し2004年に再結成するも11年に再び解散。12年にうどん店「山下本気うどん」を開店。17年に芸人を引退、芸能ライターに転身しインタビューマン山下に改名。21年に芸人に復帰し芸能ライター、実業家、投資家などマルチに活動している。