航空機内でマスクの着用を拒否した上で客室乗務員にけがを負わせ、同機を新潟空港に臨時着陸させて運航を妨げるなどしたとして、傷害や威力業務妨害などの罪に問われた奥野淳也被告(36)の判決公判で、大阪地裁(大寄淳裁判長)は14日、懲役2年、執行猶予4年(求刑懲役4年)を言い渡した。奥野被告が閉廷後、本紙の取材に応じ、法廷からあるモノを撤去させたと明かした。

 大寄裁判長は、客室乗務員への「暴行があった」と認定したが、傷害罪ではなく暴行罪にとどまると判断。臨時着陸についても「緊急着陸の高度の必要性が不明」とした。奥野被告に前科もないことから、執行猶予付きの判決を下した。

 この日もノーマスク姿の奥野被告は、判決を聞き終えると証言台から立ち上がり、大きく両手を広げながら「まるで中世の魔女狩りのような判決で、後付けでこじつけの作文だ。私は無罪です。冤罪です」と大声で裁判長や傍聴人に訴えた。

 粛々と判決が下った法廷ではこの日だけの変化があった。ノーマスクを主張する奥野被告に対し、裁判所はこれまでの公判で厳戒態勢を敷いてきた。初公判では法廷の入り口手前で職員が傍聴人一人ひとりのマスク着用をチェック。

 法廷内では奥野被告の“飛沫”を警戒して、証言台の周囲3方を高さ2メートルほどのアクリル板で取り囲んだ。ところが、前回の論告求刑公判まで続いた“アクリル板ブロック”が、この日になって突然、取り払われた。

 実は奥野被告がアクリル板排除に動いていた。判決公判前に奥野被告は「厚労省の指針でも、距離があり会話が少ない場面では過剰な対策は緩和する方向であり、判決公判では証言時のような会話は想定されるわけではない」とする意見書を裁判所に提出していたという。「裁判所から『積極的に取り外す方向にする』と返答があり、今日なくなっていた。やればできるやんとは思いましたが、判決は酷いものでした」と話した。

 新型コロナ対策としてのマスク着用要請下で起きた事件をめぐっては「判決は妥当」「マスクをするしないは自由だが、だからといって他人を殴ったり、飛行機を止めたりしていいのか」という意見も少なくない。

 こうした声に奥野被告は「そもそも暴行や妨害はしていない。その前提として、マスクをめぐる同調圧力や排除の感情があったのではないかと主張してきました。そこをきちんと調べずに全く的外れなことを言っている」と反論した。

 暴行を認めた裁判所にも「傷害罪を認定落ちさせて暴行罪としている。傷害罪は無罪にすべきだし、『何らかの暴行行為があったのだろう』と言うだけで、どういう暴行行為があったのかも特定していない。自分がやっていないことは謝れない」と指摘。被害者への謝罪も「一切するつもりはない。謝罪も反省もありません」と言い切った。

 今後は控訴も視野に入れているという。