元世界女王が目指す道とは――。昨年の東京五輪トランポリン女子代表の森ひかる(23=TOKIOインカラミ)が単独インタビューに応じた。2019年の世界選手権個人で優勝。金メダルが期待された五輪本番ではまさかの予選敗退に終わり、一時は現役引退も考えた。その元女王が競技続行への思いや、8月に敢行した英国での修行生活、今後の展望などについて激白した。
――8月に単身渡英。東京五輪トランポリン女子銅メダルのブライオニー・ページ(31=英国)のもとで2週間の合宿に励んだ
森 トランポリンを続けた理由として、やり残したことがいくつかあった。その中の一つが1人で外国に練習をしに行くことで、やるしかないと思って。初めて演技を見た時に衝撃が走って、それからずっと憧れを持っていたページ選手に「練習に行かせてくれないか」と相談したら「来ていいよ」とのことだったので、行ってみました。
――どんな生活を送っていたのか
森 私生活も練習も24時間ずっと一緒で、毎日本当にクレージーな生活を送っていた。「普通」という感覚の幅がすごく広がった。一番驚いたことは、練習が終わった夜の9時に「水着に着替えろ」って海に連れていかれて。日本よりも寒かったんですけど「これがクールダウンだ」って。もう死ぬかと思うくらいヤバかったです。
――24時間一緒だと不満はなかったか
森 英語がしゃべれないので、とにかく出されたものを食べますし、やれって言われたことをやるという本当にされるがままの生活で。落ち込む暇もないくらいでした。
――行くまでは不安もあった
森 ものすごく不安で、なんで1人で行くなんて言っちゃったんだろうって思いました。行きの飛行機で涙が出てきたんです。でも、すごく楽しかったので、ちょっとの勇気で人生が変わった。行ってよかったなと思ってます。
――英国での経験が今後のトランポリンに生きてくるのか
森 日本はアップとかもしっかりやりますし、全部をきっちりという感じですけど。英国の選手はアップも私たちより短かったり、練習もバババッとやって終わる感じだった。考え方が広がって、いい部分を自分で選択していけるようになりました。ハイブリッドですよね。
――今後挑戦してみたいことは
森(競技を)続けた理由として、トランポリンを通して人としても成長するということが、今の一番のテーマではある。なので、いろんなことに挑戦しながら成長していきたいなと思ってます。(英国以外の)他の国も行ってみたい。やっぱり中国は強いので練習を一緒にしてみたいし、カナダもオリンピックで優勝してたクラブチームがあるので行ってみたい。
――自身が掲げる理想の人間像は
森 私は将来コーチになりたいと思っているので、そのためにも今大学に行ってみたり、自分がトランポリンを通して経験して、どんな経験をしたか語れる人になりたいなと思っています。
――世界選手権(16日開幕、ブルガリア・ソフィア)への意気込み
森 今年に関しては、新しく挑戦したことがたくさんある年だったので。挑戦した結果が、自分でもどうなるかわからないままスタートをした。楽しんでやりたいし、やってきたことをしっかり出せたらいいなと思います。
――2年後のパリ五輪も視野に入れているのか
森 自分ではパリっていうのも、まだわからない。東京五輪の思いもあるので、まだ今の時点では絶対に出たいとは言い切れないです。いろんなことを経験していく上で、パリもあればいいなとは思います。
☆もり・ひかる 1999年7月7日生まれ。東京都出身。4歳でトランポリン教室に通い始める。2013年の全日本選手権を史上最年少(14歳)で制覇。高校1年の時、トランポリンを極めるため石川・金沢市に移住。19年の世界選手権で日本人選手初の金メダルを獲得し、東京五輪代表の座を手にした。五輪本番では予選敗退。現在は金沢から東京に拠点を移して練習に励んでいる。159センチ。











