121、122期にスポットを当てる「Challenge! 新人選手紹介」は静岡の渡辺栞奈(かんな、25=静岡)をピックアップ。競輪界を代表するマーカー・渡辺晴智(49=静岡)を父に持つ競輪一家に育った彼女がガールズケイリンに飛び込んだ理由とは!?
高校を卒業すると、ヘルパーの資格を取って職に就き祖父の介護をしていた。やがて祖父が亡くなり、しばしフリーター生活を送り、ぼんやりと将来のことを考えているころ、弟の雅也(21=静岡)が117期生としてデビューした。その姿に大きな衝撃を受けたという。
「デビュー戦の弟がすごくカッコよく見えたんです。家じゃそんなことないのに(笑い)。そこで私も、人に感動を与える仕事がしたいと直感的に思ったんです」
学生時代にバスケットボールをしていたが「強いチームでもなくて。ただ体を動かしていただけ」と本格的な運動経験はなく、もちろん父は反対した。
「『冗談でしょ? 絶対ムリだよ』って。でも私はもう選手になると決めていたし、諦めるわけにはいかなかったです」
譲れない父との攻防をかたわらで見ていた雅也がコーチ役を買って出て、特別メニューを組んで姉の夢の実現を後押しした。
「乗り方からもう全部。タイムを出すコツとかも分からなかったし。よく『父を見て選手を目指したの?』と聞かれますが、実は弟の影響なんです」
2か月ほどすると父も「振り向いてくれた」と理解を示し全力で応援に回った。おかげでわずか5か月で日本競輪選手養成所に合格した。この辺りの勝負度胸と鋭いセンスを見ると、やはり血は争えないものと感じる。
7月に本デビューし、ここまで場数をこなし今後の方向性も見えてきた。「養成所では先行してもいつも7着でした。そっち側じゃ勝てないとわかったし、自分の持ち味を生かすレースを突き詰めたい。父からも長所を伸ばせと言われていますし」
目指す理想像を聞くと、さもありなんな答えが返ってきた。「野口(諭実可)さんや奈良岡(彩子)さんみたいなタイプですね。先輩たちの技、際どいコースや攻める度胸とか、すべてがすごいです」。もちろん、ガールズケイリンには「ライン」や「追い込み」といった概念はない。だが、取り組む向きは明らかに伝わっており、芯もしっかりしている。やはり、あの〝渡辺晴智〟の娘だ。
Q&A
――父と母、どちらに似ていると感じるか
父ですね(笑い)。気持ちから入るポジティブタイプなんです。母からも父に性格が似ていると言われます。ちなみに雅也は母似です。
――フレームにこだわりはある
父が喜ぶと思って、同じカラーにしました。見せたら「おお、いいじゃん。カッコいい!」って。
――趣味は
ママチャリに乗って温泉に行きますね。仕事用の自転車やクルマだと景色が見られないけど、ママチャリならゆっくり楽しめます。
――晴智選手は競輪場では寡黙な印象があるが家では
最近、妹が保護した猫を飼い始めたのですが、今まで父が猫好きなのを知らなくて。ずっとデレデレしていますよ。ちなみに弟はトカゲを飼っています。
☆わたなべ・かんな 1996年10月22日生まれ。静岡県出身。155センチ、52キロ。父・晴智、弟・雅也、いとこに雄太(105期)、直弥(113期)を持つ競輪一族に育つ。












