“女芸人マニア”として知られているお笑いコンビ「馬鹿よ貴方は」の新道竜巳が、これから“馬鹿売れ”しそうな女芸人を紹介するこの連載。今回は、剛腕の女芸人が男性2人を従えるという、新しい形のトリオ漫才師を紹介する――。
【プロフィル】
ユニット名:すし国
結成:2022年4月17日
事務所:吉本興業
養成所:NSC東京25期生(20年3月卒業)
立ち位置中央:齋藤真優佳
生年月日:1999年8月20日
立ち位置左:森かいと
生年月日:1996年11月17日
立ち位置右:ぼこ
生年月日:1995年9月7日
それぞれ別のコンビでそれぞれ活動していましたが、同じくらいのタイミングで解散。そこで養成所に通っていたころから仲が良かった3人で組んだそうです。
すし国さんは変則的なトリオ。まず女性1人に男性2人というメンバー構成が珍しい。女性が真ん中にいて、両端に男性を従えている。女性の齋藤真優佳さんは現在、早稲田大学在学中で、大学に通いながらネタも作っています。
男性2人と女性1人というメンバー構成で、女性がネタを作ることはお笑い界ではかなり珍しいこと。もっとも齋藤さんに言わせると、「この2人は脳みそがないので」。ネタを作ってもらうこと自体をあきらめているそうです。
一見すると、天然っぽい男性2人にしっかり者の女性。こういう場合でも、天然に見せているどちらかの男性がネタを作るケースが多いのですが、すし国さんは見たまんまのキャラクターで、しっかり者の女性・齋藤さんがネタを作っています。
トークなどで齋藤さんが2人の男性のことを雑に扱っても、怒ることは全くない。むしろ下手に出て「女帝の言うことなので」と、まるで召し使いのようにあがめているように見えます。
果たして本当の関係はどうなのか? 気になった私は「トリオでモメたりしないの?」と男性2人に聞いてみましたが、森かいとさんの回答は「モメることはないです、従うだけなんで」。ぼこさんも「発注通りにやるだけ」。2人とも、齋藤さんへの忠誠を誓っているようです。
ただ齋藤さんが2人に圧をかけすぎてしまうことが多いためか、森さんとぼこさんは最近、何の断りもなくラジオを始めたそうです。やはり“恐怖政治”のストレスがあるのか、「ラジオぐらいはハネを伸ばしたいな」とぼこさんは漏らしています。
お笑い界では最近、トリオのコント師が増えています。でもすし国さんがやっているのは漫才。コント師は多いけど、トリオの漫才師は非常に少ない。大昔は別ですが、いまは認められているトリオ漫才師が非常に少ないのが実情です。
たとえば漫才日本一を決める「M―1グランプリ」でも、トリオで決勝に進んだユニットは、これまで1組もいません。準決勝に進出したのも、2019年の四千頭身さんぐらいです。逆に言うと、トリオ漫才という分野はまだ開拓されていない余地があるのかもしれません。
3人で漫才をやる場合、2人だけでしゃべって盛り上がってしまい、あとの1人は何もせず見ているだけ、ということがよくあります。そういう漫才を見ると、「2人でやればいいのでは?」と思ってしまいます。余った1人は、たまにしゃべる変なヤツみたいなポジションになりがちです。トリオだとそういう形になりやすいところに難しさがあるんです。
ただすし国さんにはそういう心配はなさそうです。とにかく齋藤さんの舞台度胸が素晴らしい。話を進行するだけでなく、両端から矢継ぎ早に交互にボケが来るのを見事にツッコんでいきます。そのツッコミ方も新しい! 自分の口に人さし指を当てて「しっ」と言って黙らせる。そんなシンプルかつ珍しいツッコミを見せたかと思えば、「ザコが!」と荒いツッコミを見せる時もある。
齋藤さんがネタを書き、進行もして全部ツッコむ。こんなに負担が1人に集中しているトリオも珍しい。新しい形のトリオ漫才に期待しています。
☆しんどう・たつみ 1977年4月15日生まれ、千葉県出身、本名・濱島英治郎。平井“ファラオ”光と組む「馬鹿よ貴方は」として「THE MANZAI」「M―1グランプリ」で決勝進出を果たした実力派。緻密なネタ作りに定評がある一方、女芸人ナンバーワン決定戦「THE W」では、予選会場に足しげく通い、ほとんどの出場者のネタを見るほどの“女芸人マニア”。












