心不全のため9日に亡くなった作家・野坂昭如さん(享年85)は今は亡き大島渚監督との乱闘事件を起こしたことでも話題を呼んだ。1990年10月23日。大島監督(58=当時)と女優・小山明子(55=同)の「結婚30周年を祝うパーティー」が都内のホテルで開かれ、映画関係者や俳優ら約1500人が集まっていた。

 終了間際の午後9時。壇上に登場した野坂さん(60=同)が、紙に書いた祝辞を読み上げると「ありがとうございました」と礼を言う大島監督の左頬にいきなり強烈な右ストレートパンチを見舞った。大島監督のメガネが飛ぶほどの衝撃だった。殴られた大島監督は、持っていたマイクで野坂さんの頭を2発殴り返して応戦。隣にいた小山が慌てて止めに入ったが、なごやかだった会場は騒然となった。

 騒動の発端は、あいさつする予定だった野坂さんの姿が見えなかったため、大島監督が順番を飛ばしたことだった。大島監督は、帰ったと思っていた野坂さんが、会場にいることに気づき舞台に呼び上げた。しかし、この時すでに野坂さんは足元もおぼつかない泥酔状態だった。

 大島監督は、すぐに気を取り戻し、マイクで「悪いのは僕です」と野坂さんを気遣ったが、泥酔状態で「何を言ってんだ!」と叫ぶ野坂さんは関係者に引きずられるように場外へ連れ出された。

 当時の大島監督と野坂さんは討論番組「朝まで生テレビ!」(テレビ朝日系)でしばしば激論を戦わせており、その“遺恨バトル”との見方まで出ていた。

 事件から1週間後、野坂さんが、週刊誌のコラムで大島監督への謝罪エッセーを発表。その後、11月15日に放送された「EXテレビ」(日本テレビ系)に事件以来初めて2人で出演して、ようやく“手打ち”となった。