膿は出し切れるのか。日本大学は10日、前理事長の田中英寿容疑者(75)が所得税法違反(過少申告)の容疑で逮捕された件などを受けて記者会見を開いた。

 加藤直人学長は「日本大学は田中前理事長と永久に決別し、その影響力を排除します」と宣言。今後、外部有識者を中心とした「日本大学再生会議」を設置するという。

 日大医学部付属病院をめぐる背任事件では元理事の井ノ口忠男被告が背任罪で起訴され、田中容疑者も計約1億2000万円の所得を隠したとして、所得税計約5300万円を免れた所得税法違反(過少申告)容疑で逮捕されている。

 事件の舞台となり、井ノ口元理事が取締役として権勢をふるっていた「株式会社 日大事業部」について加藤学長は「清算を視野に進める」とした。その上で「田中、井ノ口の影響力を本学から排除する」と何度も口にしたが、それだけで大学再生は難しそうだ。

 日大関係者は「今後のカギはあの女の処遇ですよ。井ノ口元理事の姉であるHさんが、理事長や弟と一緒に飛んでくれるか、でしょう」と話す。一連の事件では井ノ口容疑者がキーマンとされているが、大学関係者や出入り業者の間で本人以上に有名だったのが、実姉であるH氏だ。

 大阪で広告代理店などを経営し、関西を中心に広い人脈を持つ。田中理事長夫妻に弟を引き合わせたのもH氏であるといわれ、弟を中枢に送り込んでからは「事業部」に集まる巨額の日大マネーを握って大学を外から牛耳ってきた。広報業務を一手に受注し「スポーツ日大」などのブランディング、グッズ事業など展開。巨大な広告費も握っていたことから、各メディアに対しても絶大な影響力を持っていた。

「アメフトの事件以降、スポンサー契約を結んでいた巨人との仲が切れて東京ドームこそ〝出禁状態〟ですが、最近までいろんな現場で顔を見ました。お付きの関係者をどこでも怒鳴り散らすので目立つんですよ。ただ理事長夫妻に相当信頼されているとかで、誰も歯向かえなかった。正直あの人がいなくならない限り、〝日大再生〟はありえないでしょうね」(広告代理店関係者)

 東京地検特捜部は井ノ口元理事の〝親族〟についても捜査を進めているとの情報があり、これがH氏とみられるのだが…。たった一度の会見で、すんなり事が運ぶはずがない。大学と地検の本気度が試されている。