健康診断は毎年欠かさず受けていますか? 症状がほとんどなく、気づきにくい病気の肝炎は様々な原因によって引き起こされる。コロナ禍では生活習慣が原因で肝炎になる人も急増しているという。予防法などを内科医の岡林美紗子医師に教えてもらおう。
――改めて肝炎とは
岡林医師(以下岡林)肝炎は肝臓の細胞が様々な原因によって炎症を起こし、機能しなくなっていく病気です。原因は様々ですが大きく分けるとウイルス性、アルコール性、薬剤性、自己免疫によるもの、生活習慣による肝炎が挙げられます。特に、薬剤性の場合は、薬以外にサプリメントや健康食品でも肝障害を起こすことがあり、注意が必要です。新型コロナウイルスが流行してからは、体感として肝機能異常で病院を受診する方がかなり増えていますね。
――なぜでしょう
岡林 その多くは先ほど挙げた原因のうち生活習慣変化とそれに伴う体重増加によって肝臓に脂肪が沈着することで生じるタイプの肝障害です。やはり、自粛生活によって運動する機会が減ったことや家の中にいる時間が増えたことで、普段よりもつい食べ過ぎになりがちなことが要因と考えられます。
――肝炎かどうかはどうしたらわかりますか
岡林 肝臓は“沈黙の臓器”と言われているほど、基本的に通常症状はほぼありません。病院を受診する患者さんも実は自覚症状がない人がほとんどです。だいたいの方は、年に1度職場で行われる健康診断の血液検査で肝臓の数値が悪いと診断を受けたことをきっかけに病院を受診されています。そのため症状がないから大丈夫という認識は危険ですし、健康診断を受けて、自分の体の状態を知ることが大切です。
――自覚症状を伴うケースはないんですか
岡林 急性肝炎の場合はウイルス性の肝炎を中心に肝臓の炎症が高度になると発熱や頭痛など風邪に似たような症状が見られます。他に吐き気やだるさ、目や体が黄色くなる「黄疸」を生じることがあります。慢性肝炎の場合は症状がないままに放置し肝硬変にまで至ってしまうと肝臓がんのリスクになる上におなかに大量に水がたまったり、意識障害を起こしたり、食道や胃に静脈瘤を作り、破裂すると吐血や最悪の場合、突然の死に至ることがあります。
――予防するには
岡林 ウイルス性の肝炎には様々な種類があり、タイプによって感染の経路や経過が全く違います。A型は、東南アジアやアフリカなどのウイルスの流行地に出張や旅行で行った際に現地の生の水を飲んだり生の魚介類を食べたりすることで感染します。そういった海外の流行地に行った場合は生の魚介類を食べないようにしましょう。また、ワクチンも有効なので渡航前にワクチンを打つこともおすすめします。
――今はまだ海外旅行は現実的ではありませんが、今後、コロナが落ち着いたら気を付けないといけませんね
岡林 B型は、血液や体液から感染し、性感染もあります。無防備な不特定多数との性行為はやめましょう。C型も血液から感染しますので、例えばカミソリなど他人の血液が付着している可能性のあるものは共有しないでください。
――アルコール性肝炎はやはりお酒を飲み過ぎないことが予防につながるのでしょうか
岡林 そうですね。男性で1日約30グラム、女性で約20グラムくらいのエタノール量を毎日摂取していると肝炎になりやすくなります。30グラムのエタノールはビールだと大瓶1本とちょっとくらいの量になります。これを毎日摂取している人はリスクが高いかもしれません。お酒は飲んでも良いのですが、飲み過ぎない程度に楽しみ、休肝日も設けましょう。生活習慣からくる肝炎は、糖分や脂肪分を控えた食事とウオーキングやスイミングのような有酸素運動を日々心がけることが大切です。
☆おかばやし・みさこ 千葉大学医学部卒業。千葉西総合病院消化器内科で内視鏡検査や消化器内科の診療に従事する傍ら、狛江市にある松本脳神経外科内科クリニックで一般内科外来にも携わる。総合内科専門医、消化器病専門医、消化器内視鏡専門医取得。日本ヘリコバクター学会所属。












