今後の見通しは――。大相撲の夏巡業が5日に東京・立川でスタート。新型コロナウイルス禍で2019年12月の冬巡業以来、約2年8か月ぶりに再開した中、〝初日〟からいきなり幕内力士12人がコロナ関連で不参加となった。

 それでも会場には2200人が集まり、力士に温かい拍手を送った。日本相撲協会の入間川巡業副部長(64=元関脇栃司)は「やっと(この日が)来たなと。なかなかできる状況ではなかったので悔しい思いをした2年間だった」と率直な心境を吐露。感染対策に注力したことを明かし、力士5、6人を1組として稽古を行い、土俵下で待機する別の組の力士にマスク着用を義務づけるなど本場所を踏襲した上で〝警戒レベル〟を引き上げた。

 ただ、先の名古屋場所ではコロナ関連で力士の全体約3割にあたる174人が休場。この日もケガの関脇阿炎(錣山)を含めて13人が不参加となった。このまま問題なく開催できるのか。

 感染症に詳しい医療ガバナンス研究所理事長で内科医の上昌広氏は「私は大丈夫だと思いますよ」と断言する。東京都の新規感染者が直近5日のうち3日で前週の同じ曜日を下回っていることを挙げ「昨年、一昨年と同じく季節性の流行でピークは過ぎようとしています」。続けて海外のスポーツ事情に目を向け「西欧のフランスやドイツ、スペインでは日本とほぼ同じサイズの流行でしたが、サッカーは中止になっていませんよね。同じはずなんですよ」と指摘した。

 一方、上氏は秋場所(9月11日初日、東京・両国国技館)に向けて〝注文〟も忘れない。政府がコロナ対応を見直す方向で調整に入ったことから「感染者は当然ですが、部屋全員が休む必要はないんです。代わりに検査を徹底すればいいので、ファンのニーズに合わせた合理的な対策を日本相撲協会も考えないといけない」。休場者続出の異常事態を避けるためにも一考の余地はありそうだ。