今回も多くのタレント候補が出馬予定の参院選(22日公示、7月10日投開票)。2020年に結党し、今回、“台風の目”となる可能性もある政治政党「参政党」のナンバーワン著名人候補といえば、中部大学元特任教授で工学博士の武田邦彦氏(79)だろう。明石家さんまがMCを務める「ホンマでっか!?TV」(フジテレビ系)でも“独自目線”を訴えていた武田氏が、そのポジションを捨ててまで選挙に出るってホンマでっか!? 本紙の直撃に武田氏が胸の内を激白した。

 参院選に比例代表で出馬予定の武田氏は19日、大阪、兵庫で街頭演説やタウンミーティングを開催。兵庫・西宮市内での西村しのぶ氏の応援演説後、本紙の直撃に笑顔で応じた。

 80歳を目前に、政治の舞台に挑むことになった理由を聞くと「日本の衰退は政党に哲学がなかった。日本国、日本人がどうすればいいのかということがなく、補助金やマニフェストにこだわった結果、日本の4人家族、定期雇用の人の世帯年収は1990年が460万円、2020年も460万円と変わっていない。米国に3倍の差をつけられた。このままやってればどうなるのか。私もこれまでは政治を投げていたが、それじゃいけないと思った」と明かした。

 武田氏は、参政党のボードメンバーである元吹田市議の神谷宗幣氏と知り合い、参政党の講演会に参加。西村氏らと福祉の議論などを行ううちに理念に共感し、入党したという。

 昨年12月に出馬の意向を表明したが、その直前には1か月入院するアクシデントもあった。

「腸が破れて1か月入院しましてね。でも、もう大丈夫です。どうせもうダメなんだから、老人は老人で覚悟はついてる」

 そんな身を押して出馬を決意したのは、やはり日本を取り巻く状況を憂いているからだ。

「電機、電子産業と日本の企業がダメになって衰えているのなら仕方ないけど、政治が企業をダメにしている。今は自動車産業がダメになりつつある。どうしても日本のトヨタ、ホンダに勝てないから、欧米と中国が組んで電気自動車に変えようとした。それが、グレタ・トゥンベリさんの国連での演説。国連総会での演説のカネは中国が出してる。そして、日本の国内にも獅子身中の虫がいる。例えば、小池(百合子)都知事ですよ。『30年に東京には電気自動車しか走らせない』と言っている。政治家や官僚が欧米からカネをもらって、日本の力をなくしている」

 武田氏は、このような政策が続けば自動車関連の企業が衰退。周辺産業も含め200万人の失業が発生すると指摘し、「もっと恐ろしいのは、日本に産業がなくなり、今から30年後、われわれの孫は中国のコンビニに出稼ぎに行くことになる。われわれがサボったら孫がひどいことになる」と警鐘を鳴らした。

 出馬に際しては「ホンマでっか!?TV」を降板。企業の顧問や外部取締役も「クビになった」。

 この状況を武田氏は「日本全体の規則が『政治はいかがわしいから関わっちゃいけない』となっている。今の政治制度は憲法違反ですよ。政治に積極的に関わるくらいじゃないと」と憤る。

 参院選の比例代表での出馬にかかる供託金600万円にも「600万払って、全部仕事を失わないと立候補できない。金持ちしか出られない。それが日本の政治をダメにした。そこは頑張りたい」と話した。

 コメンテーター時代を「僕は自由に言わせてもらいましたけどね」と振り返りながら、「一般のコメンテーターは世の中におもねって、世の中が思っている通りのことを言う傾向がある。専門家というのは信念でしゃべらないと。そういう意味ではテレビというのは専門性が薄い」と、“予定調和”になりがちな番組作りにカツを入れた。

 選挙も直前に迫った。武田氏は「とにかくやるだけやるという気持ち。初めての政党だし、そううまくいくかは分からないが、政治的に正しいと思うことを国民がやっていかないといけないのではないか。“日本の孫”たちが悲惨な目に遭わないように頑張らなきゃいけない。それがじいさんの役目」と意気込んだ。