新日本プロレス、UWF、リングスで活躍した「格闘王」前田日明氏(63)が激動の半生を振り返る新連載「前田日明」がスタート。第1回はバトル界の現状について激白だ。自身主宰のアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」出身の朝倉未来(30)が、「超RIZIN」(9月25日、さいたまスーパーアリーナ)でボクシング元世界5階級制覇王者フロイド・メイウェザー(45=米国)とエキシビションマッチを行う。注目の一戦を格闘王はどう見るのか――。

 ――5月に約2年半ぶりの「THE OUTSIDER」を開催した

 前田氏(以下前田)ユーチューブをやりながら復活を考えてるところだね。このごろは「Breaking Down」(未来がスペシャルアドバイザーを務め、1分1ラウンドで最強を決める格闘技イベント。配信メインでオーディション制を採用し、人気ユーチューバーら個性あふれるファイターが集う)方式で、ネット中継だけでもいいんかなと思ってて。今は特にイベント業界は大変革期で、興行という根本的なシステムは変わると思う。メインはネットを利用したコンテンツ中継、プラスアルファで中身が盛り上がってきた時に大きな会場を借りて、有料で観客を入れてやる方向になっていくのかなと。

 ――現在の格闘界をどう見ているか

 前田 世界的に見ると日本は他の国と比べて10周遅れくらいで。資金力が全然違うんだよ。それで何が起こるかというと、選手が育たなくなる。二流同士の戦いみたいになる。本当は選手の実力アップのために海外の実力者や有名な王者を呼んでこないといけないんだけど、(ファイトマネーを)1試合で億単位も取るからね。朝倉未来とメイウェザー戦の(チケット代が)リングサイド100万円とやってる。それがコンスタントにできればいいけど、資金力がどうしても弱いよね。

 ――未来のメイウェザー戦に期待することは

 前田 やっぱりエキシビションマッチっていうからには、エキシビションマッチにするための分厚い契約書があるわけ。やっていいこと悪いこと、言っていいこと悪いことまできれいに決められてると思う。だから期待はしてないんだけど、かといって冷や水ぶっかけて火を消してもしょうがない。業界が盛り上がらないとダメだから。未来が罰金覚悟で、表に出てない罰則事項をやってくれたら面白いんだけど。

 ――「メイウェザーを蹴ったら罰金5億」とも言われている

 前田 もっといっぱい(罰則が)あるはずだよ、細かく。まあ、未来はたぶんキャッシュで10億円くらい持ってると思うから、2回くらいなんか(罰則事項を)やってもいいんじゃない。

 ――ボクシングでは試合にならない

 前田 未来はボクシング知らないじゃん。俺の立場から言うとしたら、未来のここ数年の異常なツキ方があるから、運の部分で面白いことが起こったらなって。技術的とか実力的な話で試合が面白くなるとは思ってない。ただ未来のツキ方って怖いんだよね、端から見てると。やることなすこと大成功。正直言って、そのために血のにじむ努力はしたことないじゃない。だから、その反動があるんじゃないかって逆に心配になるんだよ。

 ――他に期待している選手はいるか

 前田 「ONE(チャンピオンシップ)」に出てる女の子は面白いね、平田樹。もう1個、2個決め手というか技術があったらドンと伸びるんだけどね。UFCとか、あっちも狙える子だよ。

 ――古巣の新日本プロレスは旗揚げ50周年だ

 前田 3月の日本武道館(旗揚げ記念大会)に行ったけど、なんてつえをついた人(OB)が多いんだろうって(苦笑)。まあ、今は俺らのいたころとは全然違うプロレス、日本版ルチャ・リブレ。だから(ユーチューバー兼格闘家の)シバターみたいなヤツに「弱い」とかバカにされるんだよ。それで誰も言い返さないんでしょ? 個々で見ればすごい素質を持ってる選手はいるのに、強くなきゃいけないんだよっていうのが抜けてる。

 ――連載2回目から波乱万丈の人生を振り返る

 前田 今さらこういうの聞いてくれ、ああいうの聞いてくれ、わかってくれってのはないよ。どんなことをどう話しても、わかるヤツはわかるし、わからないヤツはわからないし。そういうのはもう達観してますよ(苦笑)。

 ☆まえだ・あきら 1959年1月24日生まれ。大阪市出身。78年8月に新日本プロレスでデビュー。84年に第1次UWFに参加後、88年に第2次UWFを旗揚げ。91年にはリングスを立ち上げた。99年2月に「霊長類最強の男」と呼ばれたレスリング五輪3連覇のアレクサンダー・カレリンとの一戦で現役を引退。その後も数々の強豪を招聘し、2008年3月からアマチュア格闘技大会「THE OUTSIDER」を主宰。現役時は192センチ、109キロ。