原点は闘魂だ! 立ち技メガイベント「THE MATCH 2022」(19日、東京ドーム)で実現するK―1のエース・武尊(30)VS“キック界の神童”那須川天心(23)の頂上対決まで、あとわずかとなった。本紙では運命の決戦を目前に控えた武尊を緊急直撃。前後編の2回に分けてお届けするインタビュー前編では、自身が格闘技を始めるきっかけが“燃える闘魂”アントニオ猪木氏(79)だったことを初めて告白し、まさかのラブコールも飛び出した。

【武尊インタビュー・前編】

 ――いよいよ試合が迫ってきた

 武尊 減量もしてきて、あともうちょいという感じまできています。最後は気合でやり切るだけかなという感じですね。追い込みもあと数日で終わるし、ラストスパートで。やれることもやってきているので、あとは減量して体重を整えるだけなので。

 ――体重は現時点でどれくらい落ちているのか

 武尊 練習が終わって62キロをちょっと切れるくらいまで落としてきました。

 ――ここまでどんな練習をしてきたか

 武尊(スパーリングは)数えられないくらいやりました。ボクシングジムにも出稽古で行きました。

 ――那須川に勝った先に見据えているものは

 武尊 それは勝った時に見えてくるのかなと思います。今は勝つことしか考えていないので。この試合に勝った時に自分がどうしたいかが見えてくると思うし、そこしか考えていないです。

 ――今回はSNSへの投稿を極力控えるなど、試合に集中している

 武尊 それでも結局(情報は)入ってきたりするんで(苦笑い)。でも、いつもよりネットとかに気を取られないようになって、人の言葉に揺さぶられないようになっています。自分の気持ちだけを信じてやれるようになっている。今までは直前までいろいろやっていて、揺さぶられる部分はあったんですけど、今回は全神経を集中してやれています。ここからは、さらに外の声を入れずにやりたいと思います。

 ――それだけ背負うものが多い戦いということか

 武尊 今回はK―1だけじゃなくて、いろんなものを背負ってやる試合なので。これが「格闘家・武尊」として生きてきた証明になると思います。一緒に戦ってきた仲間とか、K―1ファイター全員の分まで僕の勝利で証明できると思うので、絶対に負けられないし、気合が入りますよね。

 ――そんな格闘家・武尊の原点とは

 武尊 アントニオ猪木さんです。

 ――それは意外だ

 武尊 実は小さいころ、それこそK―1とかを見る前に猪木さんの試合を見ていたんです。お父さんとお母さんがプロレス大好きで、家にビデオがたくさんあって。1980年代の新日本プロレスでの試合とか、70年代の異種格闘技戦をずっと見ていたので、一番最初に「戦う人ってかっこいい」と思ったきっかけが猪木さんでした。

 ――なるほど

 武尊 日本の格闘技界の歴史をつくった人じゃないですか。猪木さんがいなかったら「Dynamite!」(※)とかもあそこまで盛り上がらなかったと思うし。そもそも異種格闘技戦をやって、日本人が世界と戦う図式をつくったのも猪木さんかなと思うし。

 ――猪木さんに試合を見てもらえたら最高だ

 武尊 もしよければ、この試合に猪木さんに立ち会ってもらえたらいいですよね。闘病されていらっしゃるので、もちろん可能なら…ですけど。日本格闘技界がもっと盛り上がる瞬間を見て、猪木さんにも元気になってもらいたいので。<後編に続く>

 ※2002年8月28日に行われた格闘技のメガイベント。国立競技場に10万人の観衆を集めた。メインは桜庭和志VSミルコ・クロコップで、バルセロナ五輪柔道男子78キロ級金メダルの吉田秀彦がホイス・グレイシーを相手にプロ格闘家デビュー。格闘界の総帥・猪木氏は、3000メートル上空からスカイダイビングで国立競技場に舞い降り会場を沸かせた。

 ☆たける 1991年7月29日生まれ。鳥取・米子市出身。小学2年から空手を始め、高校進学後にキックボクシングに転向。K―1初参戦となった2015年4月の55キロ級(現スーパーバンタム級)初代王座決定トーナメントを制すると、16年11月のフェザー級初代王座決定トーナメントも優勝し2階級制覇。18年3月にはスーパーフェザー級王座決定トーナメントを制し、K―1史上初の3階級制覇を達成した。戦績は41戦40勝(24KO)1敗。168センチ。