ノックダウンからの〝小池劇場〟の幕明けなのか――。東京都は22日、小池百合子都知事(68)が過度の疲労により、静養が必要になったと発表した。永田町では都議選(25日告示、7月4日投開票)を控えた今週、小池氏が何らかのアクションを起こすと予想されていた中で、過労入院は想定外のシナリオ。体調を心配する声が上がる一方、退任劇に発展するとの見方も出る事態となっている。


 小池氏が疲労でダウン!? その舞台裏を探ると、新型コロナウイルス対策をめぐる国とのバトルがあった。

 都政関係者は「新型コロナ感染症ではなく、本当に過労なんですよ。先月から小池氏の体調不安説は流れていました。さらに6月に入ってから緊急事態宣言が20日に解除されることを見据えて、国と東京都は解除後をどうするか調整をしてきました。国とのやり取りは朝方までやるんです。先週、小池氏は〝二徹(2日連続徹夜)〟しているそうです。だから周辺からは『そろそろ限界じゃないか』と声が上がっていました」と明かす。

 過去にも国と都はやり取りを繰り返してきたが、今回の調整で大きなテーマだったのが、まん延防止等重点措置に切り替わってからの酒類の提供をどうするかだった。

「もともと、都はまん延防止等重点措置ではなく緊急事態宣言を継続できないかを模索していましたが、国に一蹴されていました。酒類の提供も都は緩和していい状況ではないのではないかという考えでしたが、緩和するという国の圧力がすごかった」(同)

 東京都ではまん延防止等重点措置となる21日から酒類の提供に関して、1組2人以下や滞在90分以内などの条件が設定されている。これも揉めに揉めた。「〝国は4人まで〟、〝都はゼロ〟と主張がぶつかって、結局〝2人まで〟になった。時間制限についても意見が割れたと聞いています」(同)

 必ずしも都知事が国とのやり取りにすべて付き合う必要はなく、役人に任せてもよかったのだが、「小池氏も付き合って起きていた」(同)。その結果、二徹まですることになり、東京五輪・パラリンピックを前に、制限の緩和をしたい国の〝作戦〟に小池氏の体が悲鳴を上げることになってしまったのか。

 一方、小池氏が入院したのは、過労に加えて、都議選対策も兼ねているのではとの見方がある。前回の都議選で小池氏が率いた都民ファーストの会は圧勝したが、この4年で状況は一変。公明党が自民党とヨリを戻したことで、都民ファは半分以上も議席を失って、第3党どころか第4、5党に転落する可能性も出ている。

 そんな厳しい情勢が予想される中、小池氏は「コロナ対策に集中したい」と都議選で都民ファの応援については明言を避けていた。

「今回は戦況を引っ繰り返しようがなく、今後の都政運営を考えれば、自民党と公明党を敵に回すこともできない。体調不良ならば応援入りできない理由がつくし、都議選で大敗したとしても応援入りできなかったと言える」(永田町関係者)

 このまま都知事の座を辞職するのではないかとの見方もある。「コロナ対策で都の財政事情はひっ迫し、都議会では自民党から吊るし上げを食らう。小池氏からすれば、五輪後は生き地獄となるため、五輪開催を置き土産にして、退任する説は以前からウワサされていました」(都政関係者)

 辞職のタイミングにもよるが、小池氏が衆院選で国政復帰する可能性もささやかれている。五輪開催中に再び緊急事態宣言が出るような状況になれば、菅内閣の支持率はガタ落ちし、自民党は窮地に立つ。二階俊博幹事長と通じる小池氏が首相候補として、担ぎ出されるシナリオが想定されているのだ。

 小池氏を国会議員時代から知る自民党関係者は「五輪開幕まで1か月となろうとしている中で、小池さんが過労で離脱するハズがない。あの人は負けず嫌いで、自分ファーストしか考えていない〝女優〟ですよ」と指摘する。

 小池氏の一挙手一投足に注目が集まる〝小池劇場〟となるのか――。