強制わいせつ致傷などの疑いで10日に愛知県警に逮捕されたスポーツ用品大手アルペン会長の水野泰三容疑者(72)は、地元名古屋で知らない人がいない超有名人だった。

 水野容疑者は昨年11月29日、会員制マッチングアプリで知り合った女性(42)を名古屋市内のホテルの部屋で背後から首を絞める暴行とわいせつ行為をして全治3週間のケガをさせ、女性の現金10万円を盗んだ疑いがある。

 捜査関係者によると、女性とは初対面だったとみられ「暴力やわいせつなことはしていない」と容疑を否認しているという。

 水野容疑者といえば、シンガーソングライターの広瀬香美が歌った「ロマンスの神様」や「ゲレンデがとけるほど恋したい」のCMソングで一世を風びしたアルペンを一代で全国400店舗展開、売上高2000億円以上の東証一部上場企業へと成長させた敏腕経営者だった。

「アクティブな人で自らさまざまなスポーツをたしなみ、さらにヘリコプターやジェット機を所有するなど、とにかく派手なことが好き。自社CMに長年起用した俳優の加藤晴彦のことは息子のようにかわいがり、一緒に豪遊していたのは誰もが知っている話。当時は水野容疑者の意向で加藤が出演する番組のスポンサーをすることが多かった」(テレビ関係者)

 創業当初の話は水野容疑者の鉄板ネタだ。スポーツ用品店で武者修行後、自ら独立してアルペンを創業するも、窃盗被害で大赤字。しかし、安売り戦略で活路を見いだすと、野球場を3か月間も借り切ってセールを行い、12億円を売り上げた。

「典型的なワンマン経営者だが、ここ5年くらいは息子に任せて、いわば隠居の身だった。『英雄色を好む』とは言うが、これだけ高齢者の新型コロナリスクが叫ばれるなか、まさかマッチングアプリを使っていたとは…」

 いまだ〝現役〟でいられる元気があればこそ、ここまでアルペンを成長させられたのかもしれないが、今回ばかりは水野容疑者に〝ロマンスの神様〟はほほ笑まなかったようだ。