自民党大混乱!安倍晋三氏「逮捕Xデー」危惧する声

2020年12月04日 11時44分

安倍晋三氏

 安倍晋三前首相(66)の後援会が「桜を見る会」前日に主催した夕食会を巡り、参加費で賄えなかった費用計900万円余りを補塡したとされる問題で、東京地検特捜部は臨時国会が5日に閉会後、安倍氏本人から事情聴取する方向で調整していることが3日、分かった。政治資金収支報告書に記載がなく、特捜部は政治資金規正法違反容疑で公設第1秘書を立件する方針を固めている。安倍氏にも不記載への認識を確認する意向で、捜査は大詰めを迎える。「秘書がやった」で済むとの見方が強い一方で、党内では逮捕Xデーを危惧する声も出ている。

 昨年11月に問題が発覚して以降、安倍氏は国会で「補塡はなかった」と重ねて答弁した。だが、安倍氏周辺は最近になって、事務所側が事実と異なる説明をしていたと明らかにした。安倍氏はこうした経緯を踏まえ、自身の関与はなかったと主張するとみられる。

 関係者によると、公設第1秘書は任意の事情聴取に差額分を穴埋めしたと認めている。特捜部は、少なくとも参加者から集めた会費を収入に、補塡を含めたホテル側への支払い分を支出に、それぞれ記載する必要があると判断したもようだ。

 夕食会は公設第1秘書が代表の「安倍晋三後援会」が主催し、2013~19年に東京都内の2つのホテルで開かれた。そのうち19年までの5年間でホテル側への支払総額は約2300万円に上り、参加者1人5000円の会費だけで賄えない分は、安倍氏側が毎年100万円以上、多い年で約250万円を負担していた。

 ホテル側は安倍氏が代表を務める資金管理団体「晋和会」宛ての領収書を発行。原資は晋和会からだったとみられるが、後援会や晋和会の政治資金収支報告書に15~19年の夕食会に関する記載はなく、領収書も廃棄された疑いがある。

 この流れに自民党内では動揺が広がり大混乱している。

 党内では「第1秘書がやったことで『私は知らなかった』と、特捜部に話せば済む話だ。立件されることはまずない」との声が上がる一方で、ある閣僚経験者は「秘書がしたことだという言い訳は通用しない。安倍氏の力はそがれ、数年は表舞台に立てない」と突き放した。

 ほかにもベテラン議員が「検察はどこまでやるつもりなのか?」と不安を募らせれば、中堅議員は「特捜部の覚悟を感じました」と話す。

 特捜部は1992年の東京佐川急便事件で、党副総裁を務めた金丸信氏を聴取しなかったことで、検察庁の表札にペンキをかけられるほどの大ブーイングを世間から浴びたことは忘れていないだろう。また検察としても今年、黒川弘務・元東京高検検事長の定年延長問題で政治との距離が問われた。ある検察幹部はこう語った。

「安倍氏への聴取を見送り、上申書で済ませたら検察が猛批判される。本人から聴取し、捜査を尽くす」

 安倍氏の事情聴取に立ち会うのは、新河隆志特捜部長とみられている。大阪、東京両地検で特捜部副部長を務め上げ、大阪では学校法人「森友学園」への国有地売却をめぐる一連の事件を担当してきた。

 法曹分野に詳しい自民党議員はこう語る。

「新河氏は正義感が強く、過去の教訓を生かすタイプです。東京佐川急便事件で金丸氏を聴取せず、世間から叩かれたのは苦い経験でしょう。桜を見る会の前夜祭について、社会の空気が“政治資金規正法に抵触しているんじゃないか”となってきたから、軌道修正し安倍氏に事情聴取を要請したんだと思います」

 5日の会期末を迎えた国会。その直前の3日というタイミングで、特捜部は安倍氏本人の事情聴取を打診したわけだ。安倍氏は3日昼時点で、聴取の要請について「聞いていない」と国会内で記者団に述べた。聴取だけで済むのか…。

 ある自民党議員は「国会が終了すれば、特捜部は国会への逮捕許諾請求なく安倍氏を逮捕できます。そこまでしなければ詳細が分かるはずがありませんし、今度の狙いは安倍氏の逮捕にあるのではないか」と危惧している。

 もちろん、安倍氏の直接関与の裏づけなど逮捕へのハードルは高い。とはいえ、“逮捕Xデー”までが話題に上ってしまったほど事態は重く受け止められている。もし現実になったら、党内は未曽有の大混乱になるだろう。

関連タグ: