6日告示の大阪・和泉市議選(定数24=13日投開票)に、立花孝志党首(53)率いるNHKから国民を守る党が熱視線を送っている。結果次第では、N国党が地方選から“撤退”するかもしれないのだ。N国にとっては和泉市議選はただの一地方選ではない。出馬を予定している多田ひとみ氏(26)は、次期衆院選での擁立を予定していた目玉候補の一人だからだ。

 コロナ禍の今年、N国は選挙で連敗街道が続いている。都知事選や首長選のように知名度拡大のために負け覚悟で出ている側面もあるが、和泉市議選まで落とすとなればいよいよ事態は深刻。立花氏は今後、国政選挙に特化する可能性も示唆している。

 和泉市に送り込まれた多田氏は、神奈川県出身で成城大卒の才女。大学卒業後、一般企業に入社したものの、政治に対する思いは強く「日本を変えるのは無理かなとあきらめてたんですが、一人で頑張っている立花党首を見て、自分も正義感を主張できるかもしれないと思った」とN国党に入党した。

 職員として勤務しながら政治を学び、昨秋に党内で募集された若手議員候補者の第1号に選ばれた。アベノマスクブラで話題となったゆづか姫こと新藤加菜氏(27)は、同じく衆院選に出馬予定組の同期となる。

 新藤氏も強烈な個性の持ち主だが、多田氏も負けていない。N国は立花氏の独裁政党ともいわれるが、今月開かれた党総会で多田氏は選挙戦術を巡って、立花氏に異議を唱えたのだ。「悪いと思ったことは悪いと言ってしまうんです」(多田氏)と言うが、党内では「立花にモノ申すとは肝っ玉が据わっている」と驚かせた。

 4月に和泉市に引っ越したが、コロナの影響で6月までほとんど活動できず。そのため、思い切って自らの電話番号を公開した。「26歳の私が市民の声を届けるとともに、あきらめていた若い人を少しでも変えていきたい」(多田氏)。言葉にも関西弁が交ざり、地元に溶け込みつつある様子で、“連敗ストッパー”となるのか――。