新型コロナの治療効果が期待される新型インフルエンザ薬「アビガン」は、やはり“救世主”だ!! 発症し入院していた石田純一や宮藤官九郎らがアビガンを服用し、回復したことを明かしている。そんな中、宇部興産は22日、アビガンの材料の生産を7月から宇部ケミカル工場(山口県宇部市)で始めると発表。新型コロナへの応用についてはまだ臨床試験が始まったばかり。これに警鐘作家の濱野成秋氏は「政府はとっととアビガンクーポンを配れ」と主張する。

 アビガンは抗インフルエンザ薬として使われているのに、新型コロナに対しては効果が確認されていないとされており、開発した富士フイルム富山化学は臨床試験を始めている。石田も宮藤もアビガンのおかげではなく、自力回復しただけではないかと、疑問視する専門家もいる。ゆえにまだまだ臨床段階というわけだ。

 また、アビガンの使用にはもともと厳しい条件がある。サルを含めた動物実験で、胎児に奇形をもたらす可能性が出ているためだ。インフルエンザ治療薬としても通常の診療で処方することは認められておらず、「他の薬が使えない場合に国が使用を判断する」と規定されている。

 妊娠中や妊娠の可能性がある女性には投与できず、また薬が精液中に移行するため、男性への投与も注意が必要だ。

 それでも、苦しんでいる人はワラにもすがる思い。効果が実証されていなくても、アビガンを使用してほしいだろう。だが、アビガンを投与してくれる病院は限られている。厚生労働省によると「現在、多施設共同で臨床研究や治験を行い有効性や安全性の検証を進めています。臨床研究に参加登録を行った医療機関において、医師の判断のもと、研究への参加に患者が同意した場合に、アビガンを使用することができます」という。

 中国で新型コロナの患者に一定の効果があったとする報告が出たことなどをきっかけに、政府はアビガンの備蓄量を現在の3倍に増やし、今年度中に200万人分を確保する方針を決定。とはいえ現状では、単にため込んでいるだけなのだ。

 濱野氏は「アビガン備蓄は政治的策謀の失敗例か。アビガンに目を付けた諸外国は日本に大量に発注。絶大な効果を発揮させている。日本は無償で分け与えて国際協力。それは結構だけれども、国内ではいまだ再検査中と称して、一部の医療機関でしか処方できない薬に祭り上げた。医者が出せと言っても出さない。妊婦に与える影響を恐れるからとの名目だが、おかしい。すでにその事例は調査済み。他国には出すが、国内は複雑な手続き後に。それでは人道的に筋が通らない」と語る。

 実際、濱野氏も微熱が続き、アビガンを希望したが処方されなかったという。

「かかりつけの日赤病院でリクエストした。微熱が続く、アビガンを飲みたい。答えは『アビガンはわれわれ医師の意のままには使えない。近所の保健所で手続きしてからです』だ。それじゃあ、ひと月もかかりますよ。効果があるとされる今の症状で飲みたいと言っても、『残念ですが、無理です』。日赤のような大病院でも出せないのですか?と聞いても『出せないのです。決まりですから』だった」

 新型コロナ以後、アビガンは医師も手の届かない薬になり、感染者数はうなぎ上りだという。

 濱野氏は「安倍晋三さん、10万円ずつ配ると決めて人気が上がっているうちに、早く“アビガンクーポン”を出すことだ。今からでは遅きに過ぎるが、アビガンは誰でもマイナンバーで購入でき、転売を許さず初期症状でしっかり治す常備薬にすべきだ。『あと3か月、この調子で日本の産業をストップさせては、日本は壊滅状態だ』とはNBCR対策推進機構理事長の井上忠雄氏の言。産業ストップはもう終わりだ」と指摘している。