日本でのカジノを含む統合型リゾート施設(IR)への参入を目指す中国企業を巡る外為法違反事件で、東京地検特捜部から国会事務所などが家宅捜索された自民党の秋元司衆院議員(48)がついに身柄を拘束される事態になった。特捜部は、中国企業側から現金を受け取ったとして、収賄容疑で秋元氏を逮捕した。秋元氏を巡っては人気女性タレントとの交際の噂までが永田町で流れ始めている。

 秋元氏について特捜部は、中国企業側から現金数百万円を不正に受け取った疑いが強まったとしている。収賄容疑で本格的に調べることになり、中国企業を巡る外為法違反事件は政界の汚職事件へと発展する見通しとなった。

 中国企業は広東省深セン市に本社を置き、オンラインカジノなどの事業を手掛け、2017年7月に都内に日本法人を設立。北海道留寿都村が誘致していたIR事業への参入に意欲を見せていた。

 秋元氏は同8月、那覇市で中国企業が開いたIRに関するシンポジウムに登壇。同12月には本社を訪問し、経営トップと面会するなどしていた。

 中国企業日本法人役員を名乗る男性らが無届けで海外から現金数百万円を持ち込んだ疑いがあり、特捜部は外為法違反容疑で捜査。関係先として秋元氏の事務所や元秘書2人の自宅を家宅捜索したほか、秋元氏や元秘書、男性らを任意で事情聴取していた。

 国会議員は憲法などで会期中の不逮捕特権が定められているが、臨時国会は9日で会期末。特捜部は事業に絡む不正の全容解明を目指す。

 秋元氏はIR誘致推進派で、17年8月から18年10月まで内閣府副大臣でIRを担当し、観光施策を所管する国土交通省の副大臣も兼務していた。国会議員秘書を経て04年7月に参院比例代表で初当選。次の参院選で落選したが、鞍替えして12年12月に衆院議員となり、現在3期目だった。

 今回の事件で特捜部の捜査が急ピッチで進むのと同時に、芸能人との派手な交友関係が浮上している。元秘書2人の自宅を家宅捜索したことが発覚した今月上旬、写真撮影NGを条件に行った異例の会見では、元私設秘書のコンサルティング業務会社がタレントのマネジメントやカレンダー販売を行っていたと明かした。

 自民党の某議員秘書は「秋元氏は2009年ごろに結婚して子供をもうけています。結婚前だったけれど、バラエティー番組に出演していた女性タレントと交際していたと一時、噂になっていました。女性タレントは最近、あまりテレビで見かけなくなったが、政界とつながりがあった男性と結婚。その後、離婚しています」と語る。

 秋元氏は麻雀が好きで「麻雀議連」の立ち上げメンバーの一人として知られている。今年1月には映画「麻雀放浪記2020」の国会議員試写会を永田町の衆議院第1議員会館で開催して話題になった。

「六本木かいわいの芸能関係者ともつながりがあるといいます。普通の政治家は分刻みのスケジュールで公務をこなす。だが秋元氏は芸能人と食事したとかを、ブログやツイッターにアップするなど、時間に余裕があるんだなと思っていました」(自民党関係者)

 永田町関係者は「IR参入を目指した中国企業とのズブズブの関係が特捜部の調べで明らかにされる」と話す。捜査次第では、国が観光立国の目玉と位置付けるIR事業にも影響が及ぶ可能性が出てきた。