【人生を変えることば選び】「何ができるか」を自らに問いパラリンピック代表になった三浦さん

2020年08月27日 10時00分

三浦浩さん

【ほめ達・松本秀男 人生を変えることば選び】 東京オリンピック・パラリンピックは延期になってしまいましたが、本来ならば今ごろ、オリンピックの興奮さめやらず、パラリンピックで全国が沸いていたでしょう。

 実は私はパラリンピックのチケットを2枚持っております。パワーリフティング49キロ級。本当ならばこの27日に東京国際フォーラムで決勝でした。おそらくその決勝の舞台に立っていたのが、私の応援する三浦浩さん。

 実は三浦さんは、私がさだまさしさんの制作マネジャーをしていたころ、コンサートツアーの楽器スペシャリストでした。

 小柄で細身ながら、バイタリティーあふれ、ステージや楽屋を飛び回り、いつも笑顔で周りを明るくしつつ、仕事はプロ。昔からすてきな方でした。

 そんな三浦さんが2002年のある日、ステージの撤収中に事故に遭ってしまいました。400キロの機材が倒れてきたのを、体で支えようとして、脊髄損傷。病院に担ぎ込まれ、医師から告げられた言葉は、あまりにもつらいひとこと。
「もう足は動きません」

 当時三浦さんは38歳。ご家族もいます。普通であれば目の前が真っ暗になるような時に、反射的に三浦さんの口から出たことばは、「足が動かない。じゃあ、何ができるか?」でした。そしてさらに、「足が動かなくてできないこともあるが、できることもある。できることをやる」。

 三浦さんはリハビリ後、車椅子で楽器スペシャリストの仕事を続けました。長渕剛さんのツアーにも参加され、あの伝説の桜島オールナイトライブにも大きく貢献されました。

 そして事故から2年後のアテネパラリンピックで三浦さんはパワーリフティングを知ります。

「重さで潰されたから、今度は持ち上げてやる!」「パラリンピックを目指す!」

 なんとそこから8年後のロンドンに初出場し9位、さらに前回のリオでは5位入賞を果たしました。三浦さんはその時、51歳!

 先日そんな三浦さんに東京大会の延期についてお聞きしたところ、笑顔でこう言われました。

「もともと2028年のロス大会に64歳で出場を目指す道のりなんで、問題ないです!」

 このコロナ禍においてはなかなか前向きな気持ちになれないときも多いですよね。でもそんな時に「できないこともあるが、できることもある」「何ができるか」と自分に問うことで、新たな道が開けていくのかもしれません。まばゆいばかりのポジティブオーラに包まれた三浦さんの話を聞きながら、そんなことを思った夏でした。もちろん来年の本大会も応援に駆け付けるつもりです。

 ☆まつもと・ひでお 1961年東京都生まれ。国学院大学文学部卒業後、さだまさし氏の制作担当マネジャー、ガソリンスタンド経営を経て、45歳で外資の損害保険会社に入社。トップ営業マンとなり数々の実績を作る。現在は一般社団法人・日本ほめる達人協会専務理事を務め、企業セミナーなど多方面で活躍中。著書に「できる大人のことばの選び方」や「できる大人は『ひと言』加える」など。