レジェンドの教えを無駄にはしない。阪神移籍3年目の左腕・飯田優也投手(29)が“魔球”を武器に開幕ローテの座を虎視眈々と狙っている。

 ソフトバンク時代の2014年には11試合に先発(2勝5敗)。15年と16年は救援で30試合以上に登板した。しかし、18年7月末に移籍してきた阪神では計4試合の登板にとどまっている。

 このままでいいはずがない。そう痛切に感じた飯田は昨秋キャンプから臨時投手コーチの山本昌氏の下で、同氏の現役時代の代名詞でもあったスクリューボールの習得に取り組んだ。キャンプ期間中は可能な限り“昌塾門下生”として積極的に指導を仰いできた結果、あっという間に新球をマスター。3月11日に無観客で行われたヤクルトとのオープン戦ではスクリューを武器に4回1失点と好投した。受けた捕手の原口も「飯田さんは自信を持って(スクリューを)投げていた。リードをする上でも大きく幅が広がった。この短い期間で習得をされたのはすごい」と舌を巻いた。

 プロ8年目。自身の置かれた立場はよく理解している。飯田は「崖っ縁ですから。僕には後がない。でも昌さんは僕のような選手にも、とてもとても丁寧に指導してくださった。本当にありがたいですし、何とかして期待に応えたい」と“恩人”への思いを打ち明ける。

 開幕ローテ入りへ着々と歩を進めてきたが、想定外のコロナ禍で状況は一気に不透明となった。それでも「自分でコントロールできないことを気にしても仕方ない。いま自分がやれることをやるだけです」と力強い。チームの活動休止中には外食中心だった食生活も見直し、鶏肉やホウレンソウなどを使って料理を手作りし「健康になったと感じる。体の調子がいい」。あとは披露する場を待つばかりだ。