作家の村上龍さんが今月17日に死去したことが分かった。享年74歳。人気作家の突然の訃報に悲しみに広がっている。

 村上さんは1952年長崎・佐世保市生まれ。武蔵野美術大在学中の76年に「限りなく透明に近いブルー」で群像新人文学賞、芥川賞を受賞した。高校卒業後、米軍横田基地近くの東京・福生市に住んだ経験をもとにドラッグとセックスに溺れる若者を描いた作品。当初のタイトルは露骨な性表現を含むことから改題されたほどで、センセーショナルな内容が話題を呼んだ。累計380万部を売り上げ、衝撃的な文壇デビューを飾った。

「デビュー作で入った印税で自宅を購入したほか散財し、使い果たしてしまったものの4年後に出版した『コインロッカー・ベイビーズ』の印税で残ったローンを完済したエピソードをあっけらかんと話すなど豪快な人でした」(出版関係者)

 チャレンジ精神旺盛で、映画監督の経験がないものの「限りなく透明に近いブルー」でメガホンを取り、映画化したものの大コケ。めげることはなかったが、作家としての評価とは裏腹にヒット作には恵まれず、96年の「KYOKO」を最後に監督業からは遠ざかった。

 その後は執筆に力を注ぎ、「イン ザ・ミソスープ」「共生虫」「半島を出よ」などの話題作を生んだほか、30年以上にわたって連載されたエッセー「すべての男は消耗品である」では恋愛や社会問題を世に問い続けた。

 文壇だけでなく、お茶の間でも広く知られるようになったのは2006年からテレビ東京の経済トーク番組「カンブリア宮殿」で俳優の小池栄子とホスト役を務めてからだ。大物経営者に対して鋭い質問を浴びせたかと思いきや編集後記では人柄や仕事ぶりを的確にとらえたエッセーを寄せ、20年以上続く長寿番組となっていた。

 ところが、今年4月にMCが作家の金原ひとみ氏と音楽クリエイターのヒャダインに交代した。「〝村上龍ロス〟を嘆く声がやまず、番組に出演する経営者からも『村上さんと小池さんに会うのが夢だったのに…』とぼやきが出るほどで、金原さんが困惑することがたびたびあった」(前同)

 村上さんが番組の最後に寄せたメッセージは「作家は、死なず、ただ立ち去るのみ」。ダグラス・マッカーサーの「老兵は、死なず、ただ消え去るのみ」をモチーフにした一文だったが、番組を去ってから半年後に突然の訃報となってしまった。