4日に閉幕した愛知・名古屋アジア大会の体操女子は、杉原愛子(27=アローヴラボ・TRyAS)が個人総合と種目別床運動で金メダルを獲得した。世界選手権(17日開幕、オランダ)へ弾みをつけた日本のエースは〝2年前の教訓〟を偉業につなげていた。

 前回のアジア大会はリポーターとして選手たちの雄姿を見守ったが「楽しそうやな、出たいな」。自らの思いに従い、引退から約1年後の2023年6月に復帰を決断。ただ、24年パリ五輪の出場はかなわなかった。

 杉原を指導する大野和邦コーチは、パリ五輪出場を目指した過程が転機になったと指摘。取材に対し「期待されていて、ここで技を決めなきゃという重圧は当然あると思うけど、そこの段階は乗り越えたように感

床運動でダイナミックな演技を見せた杉原愛子
床運動でダイナミックな演技を見せた杉原愛子

じる。パリ五輪の予選時は五輪に行きたい思いが強すぎて、自分の体操を表現できなかった」と振り返る。

 悔しさを味わった杉原は、なぜ現役で戦う道を選んだのかを熟考。「体操が好き」という気持ちに改めて気がついた。大野コーチは「自分が好きで(現役に)戻ってから精いっぱい楽しもうという意識で、競技と向き合えるようになった。現地の方に楽しんでもらいたいとか、楽しんで体操を表現したいという部分に目を向けるようになった結果、成績もついてくるようになった」と明かした。

 個人総合、種目別床運動ともに日本女子初の金メダル。チーム最年長の27歳は経験値を武器に新たな歴史を刻んだ。次なる戦いは世界選手権。「よりもっと強くなろうという気持ちが芽生えた」。原点に立ち返ったエースは、誰にも負けない〝愛〟で体操に取り組んでいる。